数年前のコロナ禍も終わるころの11月末、10数年まえ3年間勤務した苫小牧を家内と訪れ、懐かしい北大研究林(演習林)に行きました。もうすっかり冬枯れの風景で、この景色が6か月も続きます。エサのない季節、リスや小鳥たちは優しい人々の手から直接エサをついばむほどに人と仲良しです。 しかし心無い隣国の観光客が噂を聞きつけて、餌やりをして小鳥を捕まえるという新聞記事がありました。彼らは自然の鳥は食料と思っていますので来て欲しくない人たちです。かって公園に集まる鳩をみて可愛い少女のアグネスチャンが「美味しそう!」と、目を輝かせたのに驚いたことがあります。
最近の北大研究林には「感染症予防で手からの餌やりはしないでください」という立看板があります。毎年大陸から渡って来る鳥インフルエンザ(&武漢ウイルス)を防止するためですが、自然の小鳥たちを心ない人達から守る為でもあります。
『研究林の可愛い妖精たち』 左の茶色の可愛い小鳥は特に人なつっこいヤマガラ、その右は警戒心の強いシジュウカラです。この赤ジャンの手は我が愛妻です。冬の散歩にはヒマワリの種や食パンが欠かせません。なにも餌を持っていないと申し訳ない気持ちになります。 北大研究林の職員の方々は、森の管理だけでなく、そこに生息する動物たちも大切に守っています。特に餌の少ない積雪期の為に『小鳥やリスの餌台』をあちこちに設置して毎日ヒマワリの種などを与えておられます。そのため小鳥たちは人間への警戒心を段々持たなくなり、手の上のエサを直接ついばむようになりました。・・そして私達が散歩して手のひらに餌をのせて佇んでいると、すぐに小鳥たちが集まりました。 以前東京から来た娘を連れて行くと、目を丸くしながら感動して餌やりを楽しみました。
『人懐こいカモ』私の家内は毎朝私が出勤した後、社宅の奥さんと連れ立って散歩に行ってましたが、他の奥さんはおしゃべりに夢中でカモにはあまり興味がありません。そこでカモ餌やり大好きな私は二人で至福の時を共有しました。 そのため、本土に帰っても、カモを見かけると『ほらお友達だよ! なんかお尻フリフリの歩く姿もカモに似て来たね!』とからかっては『ウッセ―!』と怒られます(笑)
『森の妖精エゾリス』 その姿もしぐさも、何とも愛らしく、出会っただけで幸せな思いに包まれます。目が合ったりしたら悩殺されて、一日中脳裏を離れず大変です。どんなポーズも愛くるしいエゾリスです!
『エゾシカの雄姿』 北海道ではエゾシカに出会うことは珍しくありません。私が勤務した石油備蓄基地の近くの森には多数生息しており、朝夕の通勤時には必ず数頭のエゾシカ家族に出会いました。ヒグマのような獰猛さはない草食獣で、そのつぶらな瞳が堪りません。
シカは冬眠しないので冬場のエサがなく、樹木の皮を食べて命を繋ぎます。
しかし狩猟されなくなり、可愛い姿から愛護団体の活動もあり、逆に個体数が増えすぎて山林を荒らす害獣になりつつあります。ここの研究林でも、根元から胸の高さまで皮のはぎとられた痛々しい若木がたくさん見られ、複雑な気持ちにさせられます。
『サケの遡上』 演習林を流れる小川「幌内川」は秋にサケが遡上します。人工ふ化しない自然のままのサケですので、遡上数は少ないですが、散歩の途中で会った時は、しばらく「私もサケと一緒に散歩道を遡上」します。やがて産卵・受精を終えてボロボロになり、泳ぐ力もなく川の流れに任せて川を下ってくる酒に出会った時は、思わず「ご苦労様!」と声をかけてしまいます。
『幻のイトウ』そして幌内川をさらにさかのぼると小さな深い池があります。この池には日本に生息する最大の淡水魚『イトウ』がいます。大きくなると2mになる事もあるそうです。昔はもっと大きくなると思われていたようで、『イトウが熊を襲って飲み込んだ』という伝説があるくらいです。ここ研究林の池でも度々『大きなイトウを目撃した』とされますが、警戒心の強いイトウなので、私は残念ながら目撃できませんでした。この写真は水産研究所で飼われているイトウです。
『シマフクロウ』 眼光鋭い高貴な姿は、「森の王者、哲学者、鳥のベートーベン・・」なんと形容したらよいのでしょう。シマフクロウは北海道にしか生息していません。その個体数は何と「160羽」です! 北海道の大地に人は552万人。人間は身体も大きく、食料もエネルギーも大量に消費するのに、シマフクロウの4万倍も多い計算になります。なぜシマフクロウはこんなに個体数が少ないのでしょう? それは・・食物連鎖ピラミッドの頂点に立つ動物は、利用する食物が限られ、結果として個体数が少なくなる原則があります。北海道の農場や工場や住宅街など開発が進んだために餌となる小動物が減り、木材やパルプに適した森林開発で住みかとなる自然の森が少なくなったために激減していったと考えられています。
『蝦夷ライチョウ』 本州の高山帯に生息するライチョウ とは属が異なり、羽の色は変化しません。本州のライチョウは、天敵を避けて3000m級の高山にしかいなくなりましたが、北海道の蝦夷ライチョウは健在で数十メートルの飛翔もできます。 エゾライチョウは、かつては一般的な野鳥でしたが、近年は狩猟、自然環境の変化などにより生息数が激減しています。 しかし、美味なので狩猟鳥指定から外すことに抵抗があり現在でも狩猟鳥です。
欧米でクリスマスといえば七面鳥ですが、それが一般に浸透するまでは雷鳥のローストでした。その為、1920年代から1950年代には北海道のエゾライチョウは年間5~6万羽が捕獲され輸出されていました。近年の減少は、キツネによる捕食が大きな原因と言われます。
『クマゲラ』 国内最大のキツツキで、国の天然記念物に指定され『幻の鳥』と言われます。生息数は本州に100羽程度、北海道に500羽程度と推定されています。中々お目にかかれないクマゲラですが、ここ北大研究林では毎年4~5月に営巣するクマゲラと出会う事が出来ます。頭のてっぺんが赤いモヒカン頭と、目玉の周りの白い縁取りが漫画のような風貌、何とも言えず可愛いです。(カラスと同じくらいの大きさですが、愛くるしさでは雲泥の差です!)
初夏、北大研究施設入口の門近くの大木に営巣すると、毎日数十人のカメラマンが押し寄せてきます。神経質な鳥なので、小さな声で話をしても、一斉に「シーッ」と叱られます。
『苫小牧市の中心部』 苫小牧港は、幅500m、奥行き6㎞の人工の大港湾です。元々はこの右側に大コンビナートが建設されるはずでしたが・・オイルショック後の長い不況で、進出予定の殆どの工場が進出を断念、その端に大石油備蓄基地があるのみです。
しかしそれでも苫小牧港は北海道物流の大拠点となり、北海道内の港湾取扱貨物量の約50 %を占めているほか、全国でも第4位の港湾取扱貨物量になっています。
0 件のコメント:
コメントを投稿