2024年4月3日水曜日

1. 職業と人生

                             令和4年4月3日
世界中が新型コロナ禍で大苦難の中、新たな社会人が誕生しました。

 人生で最も嬉しく晴れがましい入社式ですが、ここ数年はコロナ禍の影響で、従来経験したことのない混乱の中で、不安が大きい人生のスタートが続いています。平成23年3月に発生した東日本大震災直後の新入社員も同様の思いだったことでしょう。私は当時の某企業入社式での新入社員代表挨拶が強く心に残っています。
「困っている人がいれば家族同様に全力で支援する社会人になりたい。・・そして互いに支え、切磋琢磨し・・どんな困難にも挑戦し続ける!」 今年の新入社員も、他の世代が経験できなかった この困難・苦難をバネにして、大きく羽ばたいて欲しいと心から声援を送ります。 まさに『艱難辛苦、汝を玉にす』です。 

若者は崇高な夢と決意を抱いて社会人スタートします。
しかし現実の仕事は想像以上に厳しいものです。覚えるべき事は山ほどあり、勉強しても勉強しても深さを増し、人間関係は難しく、失敗すると気が滅入り、色々な困難な問題・課題が山積みになっていく…。「果たして自分はやっていけるのか…」と思い悩む日々。3ヶ月・3年目の危機。この時期にかなりの若者がメンタル不全となり退職者もでます。 しかしこれは誰もが通る苦難の時期であり、それゆえに先輩は、「石の上にも3年だ。まず3年間一生懸命頑張れば道が開ける。苦しくとも天職と思って頑張れ!」と励ますのです。

現代の若者も、同じように悩み苦しみ、時には退職も考えるのではないかと思います。かく言う私も入社後2~3年間は、毎日退職する事ばかり考えていました。 そういう苦しい時期に是非読んで欲しいのが、「職業と人生」(田中良雄:著)です。40年前のベストセラーですが、目からウロコの落ちる人生指針が満載です。 私もこの1冊に救われて40年間の会社生活を全うできました。今回はその中から数項目を紹介します。是非アマゾン等で古書を取り寄せて本文を読まれることを、また身近な若者への紹介をお勧めします。

〇人生とは
     一生涯自分を育てていく修行の道程
〇何の為に働くか
  働く事は生きる事で、生きる事は働く事。
 生きる為に食うとは、働く為に食う事であり、食う為に働くのではない。 
 単に生きる事は人間でなくあらゆる動物がやっている。人間にしか
 出来ないことは『人としてより良く生きよう』と努力する事。
〇人の務めとは 
  人間としての務めは『不断に動く世界の創造的な構成分子として、
 その大いなる動きに叶うよう、自らに与えられた使命を満たしていく
 ために、自分の生命を大切に養い育てていくこと。
〇仕事が面白くなくなる原
 ①強られて働く・・ 働かないと食えない。規則、地位、収入から強制
 ②仕事が不適切『才能、力量、長所、性格等』に仕事が合わず、
 力を発揮できず、気乗りがせず、面白くない 
 ③上司・先輩が、能力を認めてくれず何時までも下働きの不満。
 しかし、どこの世界に行っても、これがない職場は存在しない。
〇自分はどちらの生き方?
 ①我儘を押通す道天才・名人の道。 飢死も厭わぬ覚悟が必要
 ②我儘を言わぬ道好嫌い・我儘を言わず、嫌な事でも我慢して
 努力し乗越える地味で常識的な普通人・通常人の道。
〇遠美近醜 
  『職業選択は自由』 だが、現実は自分の意思外の因縁で仕事は
 決まる。これを天命とし、身も心も天命に従い精一杯働き抜く
 のが幸福の道である。
 人の仕事は良く見え自分の仕事は詰まらない遠くは美しく近
 づくと醜い。これに気付かずに、いくら仕事を変わっても一生
 不平不満は消えない。
〇適材適所は誰が決める?
  自分の好き嫌いで仕事の適不適を判断するのは極めて危険で要注意。
  不適所にあって深刻な苦悩と健闘を続けて乗越え、不適所を適所に、
   苦悩を悦びに変えていく力強い人生こそ、尊い奥深い会心の人生。
〇仕事は生き物
  笑顔で仕事に向かえば仕事も笑顔で近寄ってくる。
 仕事は、心からこれを愛するものの所に、自然にあつまってくる。
 『決択第一』 … 職業に対する態度は、出来るだけ早く決断採択し、
  一旦決択後は、迷わず一意専心、その仕事に打込む事が重要だ。
〇仕事場は人生の道場
  我々の仕事場は、自分を育て高めてくれる神聖な道場である。
  我々がこの世に生きる事は、様々な恩を受けて生かされている。
 その感謝、報恩、奉仕を実現する場は、職業・仕事の場以外にない。
〇仕事の徳 
  苦痛な仕事に耐え一生懸命頑張れば、ついには嫌いが喜びになる。
 これが「仕事の徳」で全ての仕事に必ず備わっている。
〇仕事が人を育てる 
  仕事が人間を良い者に育てる。良い人間が良い仕事を生み、
 相互が限りなく向上進展を遂げる。
〇一隅を照らす 
  昔中国の魏王が「私の国には宝石が十個あり、これが国の宝だ」
 と自慢した。すると斉王は「私の国は一隅を照らす人が沢山いる。
 これが私の国の宝だ」と答えた。斉の民のように自分に与えられた
 仕事を懸命に励み、一隅を照らす者こそ国の宝だ。

1 件のコメント:

  1. キャリア形成の支援を生業とする者です。
    私もこの「職業と人生」を在学時に読み、社会人人生においても落ち込んだ時に読み、今まさに新型コロナウイルス問題など混迷の情勢にあって久々に読もうとさり気なくサイトを検索したところ、こちらのブログを拝見しました。投稿の内容に共感を覚えましたので、コメントさせていただいております。
    激しい変化、不測の事態に翻弄されるVUCAの世相だからこそ、古くて新しい職業観として特に若手におすすめしたいですね。

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