2024年4月1日月曜日

7. 中国原発リスクと日本の役割使命 

 人間社会において電気は、水や空気と同じくらい重要です。
 しかしあまりに当たり前に供給されているが故に、私達は電気の重要性認識や感謝の念が極めて薄いように思います。 ところが地震・台風等の停電事故で供給を絶たれると途端に不平・非難の声を上げます。また地球温暖化が気になるときは原発を礼賛しながら、放射能が気になると原発は許さないとして、不安定で代替とならないコスト2倍の太陽光・風力・火力にしろと喚きます。 そして火力発電比率増大でCO2排出は増え続け、再使用可能エネルギー分担金コストで電気料金が値上りすると文句を言い、COP21のCO2低減にも貢献が必要と矛盾する事を要求します。・・ロシアのウクライナ侵略を止めさせる最も有力な経済制裁は『ロシア産ガスを即時止める事(代替として原子力発電再稼働を最優先する事)』は明白ですが、日本政府も欧米も、無知な世論を啓蒙し導こうとする姿勢は全くありません。

日本人は原発事故を恐れるあまり、国内の原発をゼロにしろと要求します。
しかし一方で中国は東シナ海沿岸に50基以上の原発を建設中で、将来的には273基 2億8134万Kw (世界現在429基 3億8323万Kw。日本48基4426万Kw 全停止後運転再開4基)で、中国が世界の6~7割を占めるようになります。
 『中国での原発事故発生確率も高くなり、その場合にはジェット気流で高濃度の放射能が日本中を襲う危険性が高くなる』という事には全く関心を示しません。天津市の大爆発事故の原因究明や再発防止策が全く伝わらず、高速鉄道事故時 中に人が残っているのに土に埋め証拠隠滅しようとする国です。原発事故時に中国が迅速に適切な対応をするとはとても思えません。 そういう時、日本が速やかに国際協力する為にも『世界最高の安全な原発技術、事故対応・廃炉技術の確立・維持・向上を継続』していく必要があります。 世界的には、原子力発電は『CO2排出ゼロ、低コスト発電』としてこれからも主力で、特に開発途上国では原発建設ラッシュが予測されます。 そこでも一番安全と期待されるのは日本の原発技術です。
数年前、広島高等裁判所が阿蘇の破滅的噴火が9万年前に起きているから、130km先の伊方原発は火砕流に巻き込まれるかもしれないので停止せよ。と愚にもつかない妄想狂のような仮処分判決を出しました。そういう破滅的大噴火の時は九州全域が火砕流で全滅して原発だけ考えても無意味だという事は子供でも分かる理屈です。こういうカタツムリのような縮み思考やヒステリー対応では、日本の前向きな活力は消滅して産業は衰退し、世界の誰からも相手にされず世界のお荷物になってしまうでしょう。

私は石油・化学工場の電気技術者として約25年 (15年間は人事関係) 生きてきました。この工場でも『電気は水や空気のように供給されるべきもの、事故は絶対起きないもの』 として、平常時は関心すらなく、一旦トラブルがあって困窮すると『日頃電気屋は何をしていた!』 と非難される職種でした。停電となればポンプやコンプレッサーの駆動源=モーターがすべて停止する為、石油・化学工場は稼働できず鉄の塊になります。それを避けるために、1000人の工場で約10人の電気技術者が1年365日、トラブルなく安定して電気供給できるように点検保守し、2年ごとの定期停止検査・補修で2年間の無事故無故障を保証し健全な運用が出来るように日夜知恵を絞り対応しています。

しかし、それでも人知の及ばない電気事故・故障は発生します。
その最大のものが、東日本大震災の大津波で発生した東電福島原子力発電所事故です。10mを超える大津波で非常電源喪失、配電盤水没となり、手探りの状態で吉田所長と所員が決死の努力をして、チェルノブイリ事故10倍の破滅的事故にも発展しかねない事態をギリギリの線で食い止めました。その時の状況を今は亡き吉田昌郎所長は、こう語っています。
『もうだめかと何度も思いました。私達が置かれた状況は、飛行機のコクピットで計器も全て見えなくなり、油圧も何もかも失った中で機体を着陸させようとしているようなものでした。現場で命を懸けて頑張った部下たちに、ただ頭が下がります。』
『死の淵を見た男 (吉田昌郎と福島第一原発の500日)』 門田隆将 :著

私達が当たり前のよう使っている電気の有難さ、その供給に命を懸けて頑張っている人々へ思いを巡らし、感謝を忘れないようにしたいものです。

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