2024年4月1日月曜日

5. 日本の心を奏でる御神木ヴァイオリン 

 私たち人間は、悠久の自然の恵みの中で生命をつないできた存在です。

 目を閉じて想像してみましょう。空と大地がもたらす自然の息吹、神々が躍動した遥か昔の世界を・・・まずは山内達哉氏が奏でる御神木Violinの神々しい響きを聴いてみてください。

御神木ヴァイオリン奉納コンサート - YouTube


 20万年前にアフリカで誕生したホモサピエンスは、やがて食料を求めて世界中に拡散し、その一団は平和と太陽を求めて東へ東へと移動し、2~3万年前に日本列島に辿り着きました。そこは温暖で食料に困らない自然豊かな土地で、南から西から北から色々な人種・民族がやってきて集落を作り、みんなが仲良く助け合って家族として生きました。この日本草創期の争いのない平和な縄文時代は1万年以上も続き、その間、世界最初の磨製石器や土器を作り、5,000年ほど前には装飾性の高い火炎土器なども作り、世界でも特異な 豊かな 独自の文明を築いてきたということが最近分かり、世界中の関心が集まってきています。


 自然と共に生き、あらゆるものに神の存在を感じ、祖先に感謝してきた日本人の心は、神話として語り継がれ、美しく優しい国民性を育ててきました。


この日本誕生以来の民族の記憶は古事記・日本書記の「神話時代」に記録され、その特徴は、明るく朗らかな愉快な物語が多いことです。

(生存のために部族間で熾烈な戦争が繰り返され、現代も続く西欧や大陸の神話のように「罪悪から生まれた」とか「獣から生まれた」とか、残虐・悲惨・凶悪・冷酷・裏切・姦淫・・などの暗い話は殆どありません。)


さらに日本の「歴史時代」は、初代天皇の神武天皇が全国を平定後、「八紘一宇」(世界のみんなが仲良く和を大切にして家族のように生きていく) ことを建国の基本とされ、そのご子孫の126代 今上陛下の現代まで途切れなく連綿と続き、おおみたから(国民)とともに、信頼と暖かい心で結ばれた日本を作り上げてきました。

この世界で稀有な美しい文明と精神を、戦後は占領政策によって否定され、政治・報道・教育を捻じ曲げられました。1951年のサンフランシスコ平和条約で独立・主権を取り戻した後も、私たち日本人は自らの稀有な歴史・文化を忘却したまま、80年近くにわたり「日本の心」「アイデンティティ」を見失い混迷を深めています。その「忘れ去られた日本人の心」を音楽の力で取り戻そうという音楽家があらわれました。山内達哉氏です。


 都城市が生んだ名ヴァイオリニスト山内達哉氏は、桐朋学園短大卒業後 、主に地域の活性化の音楽祭を企画・プロデュースし、音楽仲間と演奏する活動を展開しています。そして 日本の歴史や失われつつある風景を音楽にのせて後世に伝えていきたい」 という強い想いから、日本各地をテーマにした楽曲を作曲し演奏され、日本人であることの誇りや、故郷を想う心など思い出し育む素晴らしい作品として、多くの人々の心をとらえています。 その代表的名曲が、故郷の天孫降臨の山を歌い上げた「霧島~約束の地~」です。


【物語1】 御神木ヴァイオリンへの思い

 コロナ禍で主な活動拠点を、東京から故郷の都城市に移した山内氏は、過疎化していく故郷や、日本神話で名高い有名な神社神域の風倒木に心を痛めました。 「この御神木を活かしてヴァイオリンを制作したい。そして神々の思いを込めた音楽を400年も500年も奏で、人々を励まし続けられるようにしたい!」 と思い立ちました。 さらに山内氏が総合プロデューサーを務める 『神話の里 文化・芸術育成Association』 からの、「未来を担う子どもたちに音楽などの文化芸術に触れることで豊かな人生を歩んでほしいという願い」も込められました。

【物語2】 思い立ったら即行動


そして早速202012月 山内氏らは、天孫降臨の瓊瓊杵尊が祭られている県北の『高千穂神社』と、初代神武天皇生誕の地と言い伝えられる県南の『狭野神社』に赴きました。どちらの神社も【御神木ヴァイオリン】の趣旨を説明すると「そんな話は初めてだ!」と驚きながら快く賛同されました。 高千穂神社では裏板に使用する『ケヤキ』を、狭野神社では表板に使用する『狭野杉』を預かり、それぞれお祓いを受けました。そして手にした板は「とても畏れ多い感じがした」と山内氏は話しておられます。

【物語3】 2つの説がある天孫降臨の説


 この二つの神社を選んだのには理由があります。日本神話の主神・天照大神が、孫の瓊瓊杵尊を神々が住む高天原から地上に降臨させ統治させたという『天孫降臨神話』の舞台は「高千穂」として有名です。しかし宮崎には県北部の高千穂町と県南部の霧島・高千穂峰のふたつの高千穂があります。「日本書記」では霧島・高千穂の峰、「日向国風土記」では高千穂町の記述があり、どちらが天孫降臨の地なのか古くから議論されてきました。夫々の地の御神木をヴァイオリンとして一つにして神々の声を届けたいという思いが込められています。

【物語4】 御神木ヴァイオリンの製作 中澤宗幸さん


「御神木ヴァイオリンへの思いを実現してもらえるのは、世界的ヴァイオリンドクターの中澤宗幸さんしかいない!」 と、山内さんは制作を依頼しました。中澤さんは「最後の使命だと思って、魂を込めて作ります」と快諾され制作を開始しました。御神木は一般的なヴァイオリンの材質と異なるため製作は困難を極め、約2年の歳月を重ねて2022年末にようやく完成しました。通常ヴァイオリンは良い響きを求めて表・裏板ともに厚さ3mmくらいまで削り込まれますが、この御神木ヴァイオリンは、さらに良い響きを求めて削り込み、部分的に1mmとなっている部分もあるそうです。 

中澤さんはこれまでも、2011311日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市の流木から、TSUNAMIヴァイオリン」を製作され、奥様のヴァイオリニスト中澤きみ子さんと二人三脚で 「千の音色でつなぐ絆」 プロジェクトをスタートされています。追悼の想いと復興への願いを音色に乗せ、「TSUNAMI VIOLIN」を 1,000 人のヴァイオリニストがリレーしながら弾き継いでいくプロジェクトで現在も続き、延べ800人ほどが演奏しています。

『その中澤さんの音のイメージと想いが、御神木ヴァイオリンには一杯詰まっていますので、是非沢山の方々に聴いて欲しい』 と、山内氏は語られます。

【物語5】御 神木ヴァイオリンの製作 マークエステル氏


 御神木ヴァイオリンの裏板には「天孫降臨」をテーマにした絵が描かれています。描いたのは、日本を拠点に創作活動をしているフランス人の画家・マークエステル氏で、日本神話をモチーフにした作品を描き、全国の神社に奉納されている世界的な芸術家です。宮崎県内でも高千穂神社・狭野神社をはじめ、各地の神社に作品を奉納しています。そういうマークエステル氏の描いた作品が、御神木ヴァイオリンの音色に彩を添えます。

【物語6】 宮崎から日本へ、そして世界へ


多くの人たちの思いや技術が結集し誕生した御神木ヴァイオリン。

 今後は、宮崎から飛翔し、全国各地の神社の祭事や、地元のお祭りなどを通して、地元のヴァイオリニストに演奏してもらう予定だそうです。宮崎で誕生した数々の物語とともに、世界のみんなが仲良く和を大切にして家族のように生きていく』という神々の願いを世界中に届くよう、その音色を響かせ続けてほしいと祈ります。そしてヴァイオリンとしての役目を全うするまでの数百年間、私達もその人類の願いを心から支援していきたいものです。

【物語7】 入魂式&奉納コンサート (令和4年12月22日、29日)







【物語8】「鳴響ものがたり」 2022.12.26   都城市山田町のご自宅(Bon Cafe)庭園での野外コンサート。ステージのこんもりした森は、鎌倉時代以前からの歴史ある山田神社。中盤からの「ひまわり」は、ウクライナ悲劇を思い泣かせます。また終盤の娘さんとのデュオ「アニーローリー」は、奥様のキーボードと合わせ 息がぴったり合い心に響きます。まさに御神木ヴァイオリンと山内一家の「鳴響ものがたり」です。

響鳴ものがたり - YouTube


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