2024年3月3日日曜日

1. より良い人間関係作りの為に

 私達は、色々な人との人間関係の中で生活しています。 お互いの信頼関係や協力的な人間関係が築けていない場合、仕事や生活がうまくいかないばかりでなく、家庭や友人関係、地域社会の隣人達との人間関係の難しさや悩み等のストレスで健康を害することさえあります。 
 そこで今回は『より良き人間関係つくりの為に』、自分の対人関係の癖や行動傾向を知り、その改善の方向について学びましょう。 

 これは、『社会人の重要な3つの能力』を模式化したものです。
新入社員(大学生)~実務担当者の段階は、専門技術・技能を学び・磨く時代です。 先輩から仕事の基本や知識・経験を吸収し、一致協力して大きな仕事を達成しなければなりませんので、『ヒューマンスキル』を身に着けないと成長できません。
 課長・係長クラスになると、職場の部下を束ね、関係部署を巻込んで、より大きな視点で大きな課題達成が求められ、経営の一端を担った『経営(課題形成・判断・意思決定)』の能力が必要となります。
 経営者は、専門技術はマネージャーや担当者に任せ、『経営』に専念することになります。
 この図からわかるように『ヒューマンスキル』 は3つの段階を通じ、一貫して重要な【仕事を進める上での基本】となる能力であることがわかります。

1.  1. あなたの心はどんな形をしていますか?
 心理学者エリック・バーンは、見えない心を『エゴグラム』 で見える形にしました。 
私達は、楽しい時や悲しい時辛い時等、その時々の心の状態が大きく変化しますが、表面上は平静を保って日常生活を送っています。 自分や相手の心の状態や対人関係上の癖・傾向をよく理解していないと色々な齟齬や行違いが発生し、人間関係のトラブルや部下・後輩のモチベーション低下等に繋がります。
 交流分析(TA)は、心理学的アプローチでそれらを回避して、前向きで創造的な人間関係を構築し、自己成長を図る上で、とても有効だと世の中で高く評価され、良く使われている人間理解の方法です。TAの中から、まずエゴグラムを勉強します。まずは次の「6.あなたの心はどんな形ですか?」をクリックしてアンケートに答えて集計し、CP,NP,A,FC,AC の折れ線グラフで自分の心の形を描いてみてください。 

 私たちの自我状態は大きく3つに分けられます。

P:親のような私(ペアレント)   ⇒3~6歳で言葉により習得
A:冷静な成人の私(アダルト) ⇒6~12歳で思考により習得
C:子供のような私(チャイルド) ⇒0~3歳で感情・感覚的に習得

P(成人)は更に二つに分かれます。
批判CP(クリティカル ペアレント)  判断力,考え方,理想を身につけた部分
保護NP(ナターリング ペアレント)  愛情を持つ力、表現を身につけた部分
C(子供)も二つに分かれます。
自由FC(フリーチャイルド)  生来の気質を強化した本来の素直な自分
従順AC(アダプテッドチャイルド) 従順・反抗で行動・反応する部分

 人間は 生れたら親の庇護がなければ生られない“最もひ弱な動物” です。それだけに脳細胞が固まる5~6歳までに受けた親の影響を一番色濃く受けて成長、大人になっても親から受けた行動傾向や感じ方が受け継がれます。 それが 『エゴグラムによる心のかたち』 です。
最近子供の凶悪犯罪が増えていますが、『母親の愛情不足で、人への愛情の持ち方示し方が身につかず、冷酷な性格になってしまったケース』 が大半だと言われています。

対人関係では、相手によってこの(P,A,C)が様々ですので色々なやりとりパターンが出てきます。
『あの人とは、いつも意見が合わず論争になり物別れになる』
『あの人とは、いつも一方的に言われっ放しで嫌な気分が残る』
こんな時は、次の2.3.のケースに陥っている可能性があります。逆に『あの人は、いつも愚痴を聴いてくれて、最後にはすっきりした気持になれる』 というような場合は、1.のケースが多いかもしれません。   



【例1】 下は平均的イエスマン型 N型:I am not OKYou are OK)』 のエゴグラムです。
 特に日本人に多い心の形で、職場の一般社員は大体このエゴグラムです。アグレッシブな中国・韓国の理不尽な主張を前にすると黙ってしまう日本人の国民性そのもので、問題を益々こじらせてしまう為、自己改革が必要です。
 CPが低く、正当意見を持っているが我慢し押殺しがち
 ・NPが高過ぎ、相手意見に影響を受易く優柔不断と見られる
 Aは平均的、議論に強い相手に論破されるので自己主張を抑える
 ・FCが低い、自分を出さず『何を考えているか分からない』印象
 ・ACが高い、相手の意見に左右され易いので意見に一貫性がない

このタイプは、本人は 『相手を大事にして思いやり深い』と思っていても、周囲から『あの人は本音で何を考えているか分からない』という印象を与えている為ストレスを感じます。従って『極力自分の意見を持ち色々な場面で発言する』 事によってCPとFCを上げる行動を実行していけば、相対的にNPとACが下がってバランスの良いエゴグラムになってきます。 

 高いところを無理に下げなくても低いところを上げるだけでよいのです。 ここで皆さんにお伝えしたいことは、『エゴグラム(対人関係で取易い行動傾向)は変えられる』ということです。その実例として次に私の経年的変化の実例を示します。
 私は29歳の時に工場の運転課から、想像もしなかった人事部門に異動になりました。当時の上司は強烈な指導者(自己中心)型エゴグラム型で『何を指導・要求されているのか分からない』程、仕事の要求レベルが高く、約1年間落込む一方で完全にノイローゼ状態に陥りました。そのとき出会った交流分析(TA)のエゴグラムで自分の弱点に気付きました。『完璧な上司の前で萎縮してイエスマンになっている自分 を、はっきりと認識できたのです。
 それからはI am OKYou are OK の共に成長する人間関係』を目指し『低いFCとAとCPを上げよう』と意識して取り組んできました。 まずFCを上げる為 『明るく笑顔で友好的に振舞う事』、そして言われっ放しを止めて、例え稚拙でも必ず自分の意見を発言するようにして、意識してCPを上げる努力をしました。 そういった行動により、この『エゴグラム年代変化』となりました。 
 自分の対人傾向をつかみ、低い部分を上げるように意識して取り組めば、対人傾向の自我は変わる(エゴグラムは変えられる)』ということがご理解いただけたと思います。


2.『対人関係の基本姿勢』
 次の絵は、私達が日頃とっている『対人関係の基本姿勢』です。横の軸は『自己肯定(I am OK)軸』、縦は『他者肯定(You are OK)軸』です。


 『共働のスタンス』領域:協力的・共感的で互いが充実感を感じる
『ワンマン管理者』領域:独善・攻撃・他責、常に満されずイライラ
『イエスマン部下』領域:迎合・逃避・自責、重いストレスを感じる

『病気・鬱状態』領域 :閉塞感・孤独感・自己嫌悪・ひきこもり・・

若手も中堅もベテラン社員も、誰もがみんな『協力的で建設的で創造力を発揮できる④の共働の領域で、充実感を感じながら働きたいと願っている』のではないでしょうか。
 『対人関係基本姿勢(4領域)のエゴグラム』は、上記のようになります。一度実際に自分で分析した『皆さんのエゴグラム』と照合してみてください。     http://kamuimintara.blogspot.jp/2013/11/2.html 
エゴグラムのかたちは300通り以上ありますから必ずしも一致はしないと思いますが、形が似ていればその領域の基本姿勢に近いということになります。
 以前、80名程の職場で全員のエゴグラム分析を行なったところ、
  ④:  6名 (  8%)
  ③:  5名 (  6%)
  ②: 65名 ( 81%)
:  4名  (  5%)
という結果でした。
①の4名は掴みどころがなく気になる社員で見事に一致しました。
日本の企業平均は(④10%、③10%、②70%、①10%)と言われます。②が過半数以上ということは中々自分の意見が通らず、自分の存在価値を実感することが少ない職場環境にある』ということですので、何とか④のエゴグラムになるように工夫・努力する必要があります。

3.『エゴグラムPACと 能力開発 (MBO) の関係』
CP(厳父)⇒理想追求する姿勢①自立心・責任感、②挑戦意欲
NP(慈母)⇒部下後輩を成長支援姿勢⑧指導育成力 ③信頼一致
A(大人の理性)⇒仕事や人間関係を円滑に進める大人の理性
        ④知識・技術力 ⑤判断・決断力、⑥企画開発力
         ⑦折衝調整力
FC(自由な子供)⇒明朗活発、天真爛漫、子供っぽい
AC(従順な子供)⇒素直、従順、反抗、過剰順応(自責、引籠り)

有能な学生、仕事ができる企業人となる為には、Aを高めることが不可欠 
といえます。
ただAだけ高いと『計算機のような冷徹な人』と見られます。FCとACは、その人本来の持ち味ですがFCが高過ぎると『子供っぽい』と見られます。 ACが高過ぎると『自分がない』、逆にACが低すぎると『反抗ばかりして素直さがない』と敬遠されます。FCとACは、程々(中位)が良いといえます。
以上から『仕事を通じて成長する為』 には、エゴグラムで自己評価すると、より具体的に課題が見えてきます。

4.『価値ある人生を生きる為に、前提となるのはより良い人間関係つくりです。
 その為にまず大事なことは、『自分自身が本来持っている能力に気付き、その障害を取除き、本当の自分の能力の可能性を実現して生きる』事です。
第一番目に自己理解と気付き
 自分がこうありたいと思う方向へ自分を変化させることが大事
 自己への気付きが深まる程、自己理解が深まり他者理解も深まる
 エゴグラムは自己理解(他者-理解)の手段として有効です
第二番目に自発性
 自分が本当にしたい事を自ら意思決定し自分で責任を負うこと
 『自分の望しい姿、ありたい姿』に近づく具体的アプローチとして
 エゴグラムの低いところを上げることに取組んでは如何でしょうか?
第三番目に親密さ
 他者と真実に関わり、親密に交流し、心に湧起る温かさや心優しさ
 などを慈しみながら生きる(お互いにプラス・ストローク交換して 
   生きるこういう生き方が、人間らしい本当に幸せな人生ではない
  でしょうか。そして対人関係の基本的スタンスとして、大事なのは
   Here& Now(今、ここで) です。 
 過去と相手は変られない。変られるのは今ここにいる自分だけ。 
 自分が変われば相手への接し方が変わる。そして相手も自分への
 接し方を変えてくる。そこにお互いを尊重した“新たな人間関係”
 が始まる。』
   この言葉は『より良い人間関係つくりの真髄』といえるでしょう。

参考文献:「新しい自己への旅立ち」岡野嘉宏:著  
【追記】普通は2~3日かかるTA研修のポイントを駆足で説明しました。
7枚のPP資料は小さくて見づらいと思いますが、資料を左クリックする
と拡大できます

1 件のコメント:

  1. 確かに多く人は余りにも強い個性に出会うと引けてしまいます❗️しかし自分がきちんとしていれば、そこをより強くクリア出来るのですか⁉️とても参考になりました。今後ともよろしくお願いいたします。先日川口さんにお会いしました。相変わらずのバイタリティーに私も負けずにと頑張っています❗️

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