2024年3月2日土曜日

4. 日本の心と 一神教3姉妹の相剋

 上皇さまは令和5年12月23日、90歳を迎えられました
 第125代天皇の上皇陛下は、御即位以来30年の長期にわたり、国民の幸福と世界平和のために真心を込めてご活動され、国事行為や全国各地の御訪問、被災地のお見舞い激励等に精励されてきました。国民一人として心から感謝し、お祝い申し上げます。

いまも両陛下の御心の象徴的なお姿がありがたく思い出されます。
平成27年4月9日、平成天皇 皇后両陛下が日米1万2000人戦死したパラオ・ペリリュー島の慰霊碑に黙祷を捧げられた時、打ち寄せる波音が消え静寂に包まれたそうです。日本から3000kmも離れた孤島で戦い玉砕された英霊たちに両陛下の想いが届いたのでしょう。いつも国民とともにあり、国民の幸せを願い、大戦で亡くなられた日米両国の英霊や大震災の被災者に心を痛めておられる両陛下や皇室に深く感謝するとともに『皇室を中心にお互いを大事に思う日本人に生まれて本当に良かった』と改めて思います。

  古代の記紀に、約2000年前の16代仁徳天皇の心を打つ話があります。  
”高き屋に登りてみれば 煙り立つ 民のかまどは賑いにけり”【仁徳天皇が即位されて三年、高台に登って遠くを見渡してみると、民家からご飯を炊く煙が全く見えません。 『民は貧しくて飯を炊く事も出来ないのだ。これは治世を預かる私の責任だ。』と、三年間税を全くとらないと宣言し、ご自身も節約・倹約に務められました。 そして三年後再び高台に登ってみたら、あちこちの民家から煙が立ち上り、庶民の暮らしが豊かになったのだと実感し、とても喜ばれたということです。 国のトップが常に民の幸福を祈り、国民が皇室を敬い共に発展しようとする無我無私の国民性は、2000年以上前からの日本の根本的な国のあり方で、世界中どこにもこういう国や民族は存在しません。
 世界で活躍された碩学の故渡辺昇一氏は、名著『現代まで続く日本人の源流』第1巻冒頭で次のように紹介しています。日本人自身がこの事実をもっと自覚すべきです。
 『ギリシャ神話の全能の神ゼウスの孫の孫がトロイ戦争のギリシャ総大将アガメムノンですが、古代ギリシャはとっくに滅び『ギリシャ神話』は神話でしかありません。ところが日本では、ゼウスにあたる天照大御神の孫の曾孫が初代の神武天皇で、その子孫の天皇が125代も継承され現代に至っている・・と外国で話すと誰しも驚嘆します。』
 私は、お釈迦様もイエス様も、天照大神も八百万の神様も大好きで、正月には神社に初詣し、法事は仏教で、クリスマスはツリーを飾りイエス様の誕生を祝います。 恐らく多くの日本人が同様で『良い事は受け入れる という国民性』です。 また私達は、相手の宗教観を尊重して立ち入らず、そういう話題は極力避けるのが常識となっています。これも奈良時代の聖徳太子が定められた『17条の憲法』の基本精神『和を持って貴しとなす』に由来します。 元来皇室は日本神道の宗主なのに、外来の仏教を優れた宗教として尊重し『素晴らしいものは受け入れ大切にして更に発展させる』という日本の基本理念を国民に示され、 1300年経過した現代日本の私たちにも脈々と受け継がれています。
 ところが世界に目を向けるとどうでしょう? 狂信的な宗教観に基づき、自分たちの信じる神が唯一絶対で共通しているにもかかわらず、少しの教義の違いで「他は邪教・悪魔の宗教だ」と攻撃し殺戮する戦争が何千年も続き、いまも残虐・非道なテロ事件が頻発し世界中を震撼させています。
イラク・シリアで勃興したテロ組織ISは一時の勢力を失いましたが、そのメンバーは世界中に拡散し各国へのテロの脅威はむしろ高まっています。また同じキリスト教徒ながら東方正教のロシアが、突然同胞のカトリック系のウクライナを侵略し殺戮破壊の限りを尽くしています。パレスチナの地では、旧約聖書で同じアブラハムの子孫のユダヤ人とアラブ人が互いに残虐の限りを尽くす骨肉の争いを続けています。・・グローバル化が進行した現代、平和を愛する私達日本人も、こういった危険から無関係ではなくなりました。 

先の大戦後 世界を牛耳ってきた米国は影響力が衰退し目も当てられません。
オバマ元大統領が『米国はもはや世界の警察官ではない』と宣言するや、獰猛な中国が世界制覇への野望むき出しとなり、世界中のテロリストが活発な活動を開始しました。その後に米国利益しか眼中にない商売人トランプ政権が発足しました。トランプは世界平和や協調に全く関心がなく、米国内分裂すら眼中にない予測不能の唯我独尊・独断専行の人物で、世界は増々混乱を深めました。 特にトランプは中東に関してイスラエル最優先主義で米国大使館をエルサレムに移そうとしました。 もしこれを実行したら、抗争を続けるスンニ派とシーア派のイスラム教徒は大同団結して『キリスト・ユダヤ教社会とイスラム教社会の世界破滅的な宗教戦争=第三次世界大戦に突き進む』という恐ろしい事態となったでしょう。エレサレムへの大使館移転は20年以上前に米国議会で議決されており、歴代大統領は世界平和のために移転延期してきましたが、トランプは、微妙なバランスの上に成り立っている世界情勢に疎く孤立を気にしないため、持論の大使館移転は 『議会決定するのみ』と実行しようとした訳です。
その後を継いだバイデン大統領はどうでしょうか? 『一国主義でなく世界の友好国と共に』という耳に心地よいスローガンとは裏腹に、オバマ元大統領と同じく「演説はもっともらしくても 弱腰で指導力のなさ」アフガニスタン撤退で世界中に暴露しました。独裁色を強める習近平の中国は、弱腰バイデン政権を舐めてかかっており、既に81歳、老化・認知症でレイムダック化しており挽回は難しい状況です。

私達日本人は、こういう自国中心で世界混乱の元凶となり信頼を失った米国への過度の依存から脱却し、自立して力強く生抜く為には、まず 『世界を動かしている一神教 =ユダヤ教・キリスト教・イスラム』の深い理解と、世界大宗教戦争への備えと、その間隙をぬって世界制覇を夢想する中国への備えなど、賢明で手抜かりのない対応と堅固な守りが必要不可欠です。

40年前のベストセラー『日本人とユダヤ人』でイザヤベンダサン(山本七平)は『日本人は安全と水はタダと思っているが、砂漠の民は命がけで手に入れるものと覚悟して生きている』と述べています。 砂漠の厳しい環境の中で生まれた宗教観・人生観・価値観は、私達とは全く異なるものです。そのことをしっかり認識して初めて、国際的な相互理解や親善や共存共栄はスタートします。私達が自分なりに精一杯相手を思いやっているつもりでも、本当は傷つけている事が多いのかもしれません。
 世界の大事件や戦争(9.11テロ、イスラエル対アラブの中東戦争、ナチのホロコースト、十字軍等々)の背景には、多くの場合宗教上の偏見や対立抗争があります。
 そこで、今回は『ユダヤ教・キリスト教・イスラーム』について一緒に勉強したいと思います。

1.各宗教の信者数とその割合
キリスト教・イスラムの信者は37億人、全世界の 54.6%を占めます。私達に身近な『仏教・儒教』を合わせても11.4%です。従って、キリスト教とイスラム、及びその二つの元になっているユダヤ教について深く理解することは、現代に生きる私達にとってとても重要なことです


2.一神教 の成立ち(参考『ユダヤ教キリスト教イスラム』菊地章太 著)
一神教の啓典は『聖書』と『クルアーン(コーラン)』ですが、その前に私達が一番知りたいのは『一神教とは何か? どうして生まれたのか? 同じ系譜の兄弟宗教が何故互いに相容れず争うものになったのか?』 ということです。 ニーチェは『一神教は奴隷の宗教だった。 貶められ虐げられた、みじめな者だけが良き者となる教えだ。』と述べています。一神教の本質を見事に表現しています。
  唯一の神を求めるのはどんな時か?『他から切り捨てられ絶望のどん底にある孤独だからこそ 普遍の存在に救いを求める・・』それは現代の私達にも共通します。 過激テロ組織に惹かれる米欧の若者達も、期待した民主主義から裏切られ差別され貧困に喘いでいることが原因だと言われています。
  前6世紀 ユダヤ民族の王国は異民族に滅ぼされ、住民は強制移住させられて(バビロン捕囚)エルサレム神殿は破壊されました。 隔絶の地で奴隷とされた彼らは、絶対普遍の神を求めました。
      AC30頃、熱心なユダヤ教徒パウロは、キリスト教に改宗した為 エルサレムから追放され、孤独の中でユダヤ教と決別し異教の地で布教し、これによりキリスト教は完全に独立して世界に広がっていきました。
  それから600年後、孤児のムハンマドは故郷のメッカで迫害され、メディーナに逃れ、氏族共同体の後ろ盾は全く失われ、普遍の絶対神アラーにすがりつきました。氏族の崩壊、己の立位置の喪失、血縁共同体からの絶縁に一神教の成立由縁があります。

  一神教は差別され抑圧された者達の信仰であり、平和的手段では奴隷状態から脱出できないので、必然的に闘争・戦争という手段を取る事になります。虐げられた民の屈辱が原点にありますので、それを投影した一神教の神は、異常なまでに猜疑心や復讐心が強い『妬む神、怒れる神、恐ろしい神』です。『ないがしろにする者はその罪を三代にも四代にもおよぼす』 とユダヤの指導者モーゼに釘を刺します。
 旧約聖書『民数記、申命記』 では、イスラエルの民がカナンに向かう途中、通過する事を許さなかったアモリ人を怒った神ヤハウェは『全ての町の男と女と子供と家畜をことごとく打ち滅し根絶やしにせよ』と命じます。 これを守らないと唯一絶対神への冒涜になり、人間の理性や感情の入り込む余地はありません。現代のホロコーストや無差別爆撃は、既に2500年以上前のユダヤの啓典の中で『へレム(凄絶)』 として前例が示されているのです。神はありがたいもの』とする日本人には、想像を絶する恐ろしい絶対神の教えです。
そして更に『普遍の神の元では全世界が普遍支配される』という幻想が生まれ、一元論の観念 『正義を振り回す』ようになります。その典型がアメリカ合衆国です。『アメリカはテロの被害者だ。我々の報復は正義だ。』とする彼らは、基本的に頑迷で冷徹な意思を持ち、どんな報復も肯定します。相手を破壊し尽くし、根絶やしにするまで攻撃が止むことはありません。

3.一神教の系譜
ユダヤ教、キリスト教、イスラームは、同じ絶対神(ヤハウェ=ゴッド=アラー)をいだく兄弟宗教です。成立したのもこの順で、この順が決定的な意味を持ちます。当たり前の事ですが、先に成立した側から見ると、後に出来た方がインチキという事になります。後に出来た方は『神様は一人』という原則から、先に出来た一神教を『先輩』として扱わなければなりません。一神教は、唯一絶対神が人間にメッセージ(啓示)を与えたわけですから、啓示が古くても間違いという事にはなりません。この為、後発の一神教は先輩一神教を一定は尊敬します。ただし神の啓示は正しかったのに、信徒がそれを間違って解釈したとみなします。こうすれば後発の方が、より正しく神の教えを受け継いだという事になります。

ユダヤ教は旧約聖書のみを信じます。唯一神ヤハウェが流浪するユダヤの民を選び、ユダヤ王国建設の為に救世主をおくるという希望を残して終わっています。
キリスト教は、この救世主こそイエスで『国家建設は領土ではなく、互いに愛し合う状態=神の国だとし、イエスの教えを信じる者はみんな救われるとして、世界中に広がりました。しかしユダヤ教徒はイエスを救世主とは認めず鋭く対立していきます。
イスラム(信仰だけではなく法律や生活規範等すべてを含むためイスラム教とは呼ばない)は、預言者ムハンマドが唯一神アラー(アラビア語で“神“。従ってヤハウェ=アラー)から、最終的なメッセージ(啓示)受け、それをまとめたものがクルアーン(コーラン)だとします。またムハンマドの祖先は、旧約聖書の預言者アブラハムの子イシュマエルだとしています。クルアーンでは、イエスもモーゼもアブラハムも『預言者』 であり、イエスは『正しい人』 であったと敬意を表しますが『イエスが神の子とすることは、神の唯一性を否定することだ』 として決して受け入れません。ユダヤ教に対しては選民思想を酷く嫌います『世界を創造した絶対神が、特定の民族だけを選ぶことなどありえない。』 と考えるからです。

先行する一神教は、どうしても後発に対して敵意を持ちます。ユダヤ教徒たちは、ユダヤ教改革者として現れたイエスを十字架にかける様 ローマ総督ピラトに求めました。これによりキリスト教徒はユダヤ教徒に強い恨みを持つようになり、世界中でユダヤ迫害へと突き進みます。
またキリスト教が誕生した600年以上も経ってから、突然また別の一神教のイスラムが出来たことなど、先行一神教は全く信じません。特に紀元前から羊皮紙の啓典を読み込んできたユダヤ教徒は、文字が読めず書けなかったムハンマドが預言者などとは絶対に認めようとはしません。キリスト教徒もダンテが『神曲』で『民衆を惑わした罪で地獄で苦しむムハンマド』 を書いているように、常に酷い敵対の歴史があります。

4.聖都エルサレム=3宗教紛争の象徴
 エルサレムを訪れたら、世界宗教戦争の歴史と相互理解の困難さが実感できると言われます。エレサルムは4000年以上の歴史を持つ古都で、東京ドーム4個くらいの狭い地域に3宗教の大事な遺跡が集中し、夫々が独占しようと戦争を繰返し、その度に遺恨が増大している誠に難しい聖地です。

歴史的に、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒の間で少なくとも 14回宗教上の支配者交代がありました。旧約聖書時代この地で繁栄したユダヤ人は、AC70年のユダヤ戦争で全滅して世界中に離散(ディアスポラ)し、1900年間この地に入れませんでした19世紀中頃から差別に苦しむユダヤ人のパレスチナへの移民が増え(シオニズム運動)、第二次世界大戦後は、西欧諸国のホロコーストへの同情もありイスラエルが建国され、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが勝利しエルサレムを支配下に置きました。

 (1). 岩のドーム    
3宗教の祖であるアブラハムが神の命により息子イサクを生贄として捧げる為に横たえた岩で、ソロモン王はこの上に宮殿を立てユダヤ民族の心の聖地としました。
   後年、イスラムの預言者ムハンマドが、天使ジブリエール(ガブリエル)に伴われて、この岩に足をかけて天に昇ってアラー(エホバ)の声を聴き、先輩預言者アブラハム、エリミヤ、モーゼ、イエスに会ったとされます。 AC688年ウマイヤ朝第5代カリフの アブドウルマリクが建立しました。
1967年第三次中東戦争以後、イスラエル(ユダヤ)が実効支配しています。

(2). 嘆きの壁
    紀元前10世紀に栄華を誇ったソロモン王が創建したソロモン神殿。 ユダ王国がバビロニアにより滅亡しバビロン捕囚されましたが、開放後BC515年に神殿は再建されました。(第二エルサレム宮殿)  その後この地はローマに支配され、AC70年ユダヤは反乱を起こしましたが全滅し宮殿は破壊されました。 破壊を嘆くという意味で名つけられた『嘆きの壁』は、この神殿を取り巻いていた外壁の西側の部分です。今はユダヤ人の祈りの場所となっています。この戦争後ユダヤ人は母国を失い全世界にディアスポラ(離散)して流浪の民となり、1900年間『嘆きの壁』に来て祈る事は出来ませんでした。

 (3). 聖墳墓教会
エルサレムには、イエスにまつわる布教や受難の遺跡がそのまま残っています。イエスが最期の祈りを捧げたゲッセマネの園、十字架にかけられたゴルゴダの丘、そして遺体が収められ復活した墳墓の上に建てられた『聖墳墓教会』です。まさにキリスト教徒の聖地中の聖地です。中世にこの地を支配していたイスラム王国に対し、エルサレムを奪還する為に1096年から1204年まで四次にわたる十字軍を派遣しており、その後もエルサレムをめぐる争奪の戦いは何回も繰り返されています。

(4). ユダヤのパレスチナ完全支配(=水色部分)と、アラブ隔離
 第二次世界大戦後、世界はホロコーストの同情から、ユダヤ人がパレスチナの地に国家建設することを支援しました。それまでの1900年間、この地はアラブ人(イスラム)、キリスト教徒、ユダヤ教徒が共存して平和に暮らしていましたが、世界中からユダヤ人が移住し支配するようになり一変しました。次々に入植地を拡大し、ここに1900年住み着いていたアラブ人(パレスチナ人)を追い出し、隔離し、度重なる中東戦争で、パレスチナ全域を支配するようになりました。
 現在エレサレムはユダヤ人(イスラエル)が実効支配し首都宣言していますが、国連はこれを認めず各国はテルアビブに大使館を置いています。世界・国連が恐れるのは、自らを選民とするユダヤ人がエレサレムに悲願の神殿(第三エルサレム神殿)を再建することです。 そう考えると、実効支配するユダヤ人が嘆きの壁で祈っているのは神殿の再建だということがわかります。しかしもし神殿が再建されたら、イスラエル(+ユダヤ系国際金融資本・アメリカ)対イスラム諸国 との深刻な全面戦争となり、世界は破滅することになります。

 アラブ(イスラム)の民からすると、ユダヤ人が 『イスラエル(パレスチナ)は、神から約束された地だ』 と言って突然パレスチナを支配して、一方的にイスラエル国樹立を宣言し、情け容赦ない支配拡大と迫害を始めた事は到底受け入れがたいことです。 
 また第1次~第3次中東戦争では、アメリカと西欧諸国はイスラエルに軍事・経済支援を行い、イスラエルの勝利となりました。国連でもアメリカはイスラエルに不利な事は拒否権を発動するなど、事あるごとにイスラエル側に立つアメリカに対し、アラブが激しく憎むのは当然と言えます。 こういう背景が 『イスラム過激テロ組織』 の根源には存在します。 

 世界情勢に疎い私たち純真な日本人は、ホロコーストの悲惨を乗り越えたユダヤ民族なら、きっと世界中の民族の融和・平和を一番考える事が出来る筈』 と勝手に期待するのですが、現実のユダヤ人は、パレスチナ人を狭いガザ地区やヨルダン川西岸に押込め、ベルリンの壁よりも強固で巨大な隔離壁を築いて自由を奪い、支配し迫害しています。ガザ地区の青・壮年層は長引く内戦で大半が戦死して女性と子供だけになっている現実を知ると、何ともやりきれない思いに駆られます。人間社会の愚かさと救いのなさを痛感します。

  アメリカは何故イスラエルを支援するのか? それは、第二次世界大戦中ナチスの迫害を避ける為にユダヤ人が大挙アメリカに約500万人亡命し(イスラエル本国とほぼ同人数)、その後【ウォール街=ユダヤ系国際金融資本】が、アメリカ経済を支配するようになっているからです。 米大統領と言えどもユダヤ系大資本家の意向には逆らえないのが実情のようです。2015年5月のNPT(核拡散防止国際機構)の共同宣言も、最後の土壇場で【中東の非核化】をアメリカが拒否して決裂しました。その背景はイスラエルが既に核兵器を所持しているからです。 それでもイランの核武装化は必死で阻止しようとするのは全く説得力がなく、近年アメリカが指導力を失っている原因になっています。 

 世界は、この敵対しあう三姉妹を唯一絶対とする55%の人々が動かしています。 
 その中で生きる私達現代人は、好むと好まざるとにかかわらず、こういう複雑な世界情勢をしっかりと見据えながら、それでも人類の善意と英知を信じて連帯を深め、少しずつでも人種・民族・宗教・政治の違いを乗り越えて、相互理解を深め、共に世界平和を築いていく友人・隣人でありたいものです。 
 その重要さを世界に訴えリードしていけるのは、冒頭に述べた天皇・皇后両陛下を中心とする『平和を愛し、お互いを尊重する日本人』しかないのかもしれません。

【参考文献】
今回 のテーマ関連の書籍を約10冊読みましたが、読むほどに益々複雑で長い対立の歴史があり、世界混迷の解決の糸口が中々見つからない理由が少し分かるような気がしました。『知る事は超える事』です。今回主に次の書籍を参考にしました。分かり易い本ですのでご一読をお勧めします。
  『世界の宗教が面白いほどわかる本』池上彰:著(中経の文庫)
世界情勢は宗教によって大きく動いていますが、こうした宗教に疎い人が多い日本では、世界を動かす原動力が中々理解されません。世界を理解するには最小限の知識が必要で、世界の主な宗教を概観するのに最適な入門書です。
  『ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座』井沢元彦:著(徳間文庫)
   ユダヤ教ラビ、キリスト教伝道師、スーダン大使 との対談集で、3宗教の基本的な考え方や、夫々が他の2つの兄弟宗教についてどう考えているかが良く分かります。
  『ユダヤ教 キリスト教 イスラム (一神教の連環を解く)菊地章太:著(ちくま新書)
一神教の最終完成形態であるイスラムから見た3宗教の関連や光と闇に迫る比較宗教学の入門書
  『ユダヤ教vsキリスト教vsイスラム教 (宗教衝突の深層)』 一条真也:著 (だいわ文庫)
同じ唯一神(エホバ=アッラー)を信仰し、同じ啓典 『旧約聖書』 を心の拠り所にしながら、憎み合い、殺し合うようになった世にも不思議な3人姉妹。その3姉妹の生い立ちから精神世界を知れば、世界が見えてきます。
  『イスラームから世界を見る』 内藤正典:著 (ちくまプリマー新書)

  『聖書』 日本聖書協会

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