― 憧れの学友が 衝撃の50歳旅立ち ―
人生90年の現代、40歳は人生折返し点ですが、他方『厄年』として大病を患ったり早世する年代として恐れられています。『40歳前後は丁度 成人細胞から老人細胞に入れ替わっていく時期』であり、若い頃の無理やストレスの積重ねで悪性細胞が発生しやすい時期なのです。その例に違わず、私は40歳の人間ドックで胃癌が見つかりました。幸い早期段階で胃全摘出手術を受け、その後35年経過した今も生き延びています。
実は私の姉も40歳の定期検診で胃癌が見つかり、直ぐ手術したにも拘らず3年後に43歳の若さで中2の娘と小4の息子を残し他界しました。その悲しみの涙も乾かない2年後、今度は私自身が胃癌となった訳です。
また私が最も尊敬した大先輩の娘さんは弱冠42歳 舌癌で早世しました。まだまだ人生これからの若さです。そういう事を鑑みるに、40歳からの人生は、本当に紙一重の危うい運命の中にあると痛感します。
私は癌から生還後すぐに職場仲間や中学同窓生に添付の手記『幸せな健康生活に不可欠な3つの条件』を配布して、“健康の大切さ健康維持の為の定期健康診断受診、違和感を感じた時の早期検診受診の大切さ”を訴えました。
それから10年経過したある日、中学同窓の女性から次の手紙が届きました。
「お久ぶりです。今回は安藤君にお詫びの手紙です。10年前安藤君が胃癌になった貴重な体験談をクラス仲間全員に配布して定期検診の大切さを教えてくれました。それに従って私も毎年受診していましたが、昨年は仕事が忙しく1年くらいパスしても大丈夫だろうと受診しませんでした。ところが最近具合が悪く検査したところ末期癌であることが分かり余命数カ月と告げられました。安藤君の忠告通り毎年定期検診を受けなかった罰だと痛感しています。昨年受診しておれば早期段階で発見されて問題なく手術できたのに・・と悔やまれます」
そしてその手紙の4か月後、彼女は50歳という若さで天に召されました。彼女は小中学校時代から朗らかで活発でフランス人形のように可愛い人気者で、勤務していた幼稚園では「明るく優しい思いやり深い先生」と園児・親御さんに人気の保育士でした。
あれから25年が経過しました。5年おきの中学同窓会で帰省する度に墓参します。「貴女が生きていたら、もっとワクワクドキドキの楽しい同窓会なのに」と思いながら・・
この写真は、中学同窓の彼女の20歳、35歳と若い頃です。
『幸せな健康生活に不可欠な3つの条件』
私にとって平成元年(1989年)9月20日は生涯忘れることのできない日です。この日『40歳時の人間ドック』を受検し、レントゲン写真12枚中6枚に胃噴門部の異常が映っていました。 手術を奨める医者は、言外にかなり進行した胃癌であることを示唆していました。
『何かの間違いでは?
俺もあるいは長くないか・・』という思いが交錯し、『手術するなら命を任せられる信頼できる医者に!』の思いから10日間で新たに4つの病院で胃カメラによる精密診断を受けましたが、いずれもアウトで早期の手術を決意せざるを得ませんでした。
手術未経験の気楽さで、心配そうな家族を安心させる為にVサインを送りながら手術室に入りましたが、『胃の全摘出手術』は想像以上に大変で、麻酔から覚めた後は地獄のような苦しみが待っていました。(その後医療技術が発達し、脊髄硬膜外へ麻酔注入で手術後の痛みは殆ど緩和できますが、当時は痛止め注射だけで殆ど役に立ちませんでした。)
手術により切除した胃の組織検査で、浸潤が胃粘膜表層部に留まっており、再発の心配は極めて少ないことが分かり家族全員で胸をなでおろしました。しかしその後、開腹縫合後の小腸癒着により腸閉塞・入退院を頻繁に繰り返し、一年後に再手術をすることになりました。この2年間は、ただ歩いたり食べたりするのが精一杯の状態で『生きている』という実感は殆どありませんでした。
私は40歳人間ドックで胃癌検出、胃全摘出手術を受け、再発の心配からは無罪放免の身となりましたが、40歳定期検診で発見でき『間一髪で命拾いをした幸運』を今もしみじみ有難く思います。 何かの不都合で定期検診を受けていなかったら、今こうして生きていません。検診があと半年遅れていたら、間違いなく浸潤は胃の筋肉層や外壁にまで達し転移していたでしょう。
この体験から『健康を自負している人、まだまだ若いから大丈夫と思っている人』、また『40歳前後になる若者(子供さんお孫さん)』に向けて次の3点を提言します。
(1). 定期検診・人間ドックは必ず年1回以上受診する事
(2). 痛みや違和感を感じたら、すぐ専門医で診断を受ける事
(3). ガン保険は必ず3口(夫婦そろって)はいること
元々人間は誰でも悪性細胞の遺伝子を持っています。それが過労や過重な心因性ストレス等で暴れだすのがガンで、高齢者だけでなく誰でもガンになる可能性はあるといいます。特に若い時に健康を過信して無理・無茶をすると、そのツケが40歳代以降に如実に現れます。その異常シグナルを適切に掴み診断で異常を早期発見する事、また定期検診で自覚のない異常を早い段階で発見することが厄年を乗り切り、寿命をまっとうする最低条件といえます。
何の根拠もなく健康だと過信していた我が身を振り返り、『自分自身の身体の各部について予知保全(命の保全)に取組むことは家族への愛情ある気遣いの基本条件。
自分や家族の健康を心から願う人こそ、きめ細やかな仕事ができ、本当の心豊かな人生が送れる。』 と確信します。
その意味で、健康はすべての基本であり、より良い健康状態に向けて努力することは、自らの仕事・人生に対して前向きに取り組んでいることに他ならないと言えます。
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