2024年11月7日木曜日

1-6. 心優しき若者達とエゴグラム考

最近、若者の素晴らしさに感動する事が多くなりました。
多発する大地震や集中豪雨・土石流災害救助活動に呼応して、必ず若者がボランティアに参加している姿に感動させられます。またプロサッカー、プロ野球などの試合終了後、若いサポーター達が自発的に観客席のゴミ拾いを行なう姿にも感動します。 こういう心温まる話は枚挙にいとまがありません。
しかし、TVや新聞の報道では、児童・青少年の身の毛もよだつ凄惨な殺人事件や、悲惨な自殺等のニュース報道が後を絶たず、コメンテーターは『最近の若者はおかしい。心が荒れてきている』と訳知り顔で論評します。 一体どちらが現代若者の本当の姿なのでしょうか? 私が大学のキャリア教育を志したのは『自分の眼で若者(大学生)の実態を確かめたい。そして若しマスコミの報道の通りだったら、微力ながら一人でも悩める若者を救いたい!』という思いからでした。 

そして10年、約1000名の大学1年生と接してきた私の印象は『現代の若者は本当に素晴らしい! 40数年前の我々よりも、もっと純粋で優しい心を持っている。 (反面、強い意志・行動力に今少し努力必要)  という事です。私が接したのは、全国約500万人の大学生のうち僅か 0.01%ですが、これは現代若者に共通の特性ではないかと思います。
『その若者が自分の心・特徴を見えるようにして、自己理解・成長の糧にできないものか・・』という思いから、彼らにエゴグラムを作成して貰っています。その結果『自分の強み弱みが良く分かった。』『自分の知らない部分が認識できた。』と大好評でした。 ここではその個別紹介は出来ませんが 全体累計結果を紹介します。これを見ると『現代若者の具体像、特徴』が少し見えてきます。
若い皆様方は『自分を見つめ直し自己成長を図る時の参考』に、ベテラン・上司の方、親御さんは若い社員や息子・娘さんと接する時 の参考』にして頂ければ幸いです。

【1】先端技術を学ぶ某私立大学1年生の『心の形』(n=70名) 

最先端のバイオ技術者を志す優秀な学生達で、iPS細胞研究の山中伸弥教授の若かりし頃を連想させる、穏やかで優しい目をした学生達です。 普段の受講態度は極めて真面目 (私語・居眠りゼロ) で理解も早く、グループ活動では初対面のメンバーと直ぐに打解けて、協力的で活発な本当に優秀な学生達です。下のエゴグラムの5要素は全て70%以上が 『高・中』 となっており高いパフォーマンスを持っています。 また殆どの学生がNPが高く『メンバーの協力体制を大事にする信頼されるリーダー』 の素質を十分備えています。
NPが中以上は約97%(内65%が高)で『殆どの学生は、母親の愛情をたっぷりと受け、心優しく思いやり深い心を身に着けながら成長してきた』 という事を示します。 これがこの学生達の 『優しく思いやり深く暖かい』 と感じる人間性の元になっています。またAC中以上が80%となっていますので、素直で相手を尊重する』傾向が強いと言えます。

 一般的に、NPが低い人は 母親からの愛情に恵まれず、他者に対する優しさや思いやりの心が充分に育っていない事を意味します。一見して冷たい印象があり、他者の思いを気にしないので孤立する事が多くなり『相手が悪いとする他責の姿勢が強い』という特徴があります。これは 0~12歳頃までに主に親の影響を受けて形成され、思春期以降は親子愛の飢餓感を埋める機会が少ないので、NPを高めるのは難しいと言われています。 NPの低い人は、そのことをしっかりと認識して高める努力が特に必要です。

Aの中以上は85%と『既に高い大人の理性・知性がある』ことを示しています。これが日頃 『授業態度が良く目が輝いており、理解・呑み込みが早い』と感じる由縁 だと思います。 
CPの中以上も72%で『理想・あるべき姿をしっかり持って行動している』事を示します。 CPもAも『中間層が60%』となっていますが、まだ大学入学直後であり、成長・発達の可能性が充分にあります。仕事の世界は『理想・あるべき姿に向かって、理性・知性を傾注して勝負する世界』 ですので、更に磨きをかけて高め『情も理も高い優れたリーダー』として大活躍して欲しいものです。

【2】この学生70名の『心の形』集計割合
 【1. 7. 8. のNを頂点とした心の形(思いやり深く素直)』 の学生が54名 (77%) 】
普段の授業で感じていた、『受講態度が極めて真面目 (私語・居眠りゼロ) 、理解は早く、グループ活動では初対面のメンバーと直ぐに打解けて、協力的で活発な本当に優秀で好感のもてる学生達』の印象は、この『心の形(エゴグラム)』 で しっかりと証明されています。 
こういった心優しい真面目な若者達は、必ず人望のある優れたリーダーとなって、社会の重要な役割を担い大活躍して、現代の諸問題を解決して住み易い幸せな世の中を作り上げてくれるだろうと確信します。




   3】 『心優しき若者 (特に7.従順型の方)』  へのアドバイス
    授業で接する彼らは本当に素晴らしく、『一緒に仕事をしたら、きっと楽しく素晴らしい成果を生み出すだろうな・・』 とワクワクさせられますが、ただ一つ心配な事があります。それは、『仕事の世界は思った以上に厳しく、一人前になるまでは、ただひたすら努力が必要』という事です。 その間は先輩・上司から厳しい指導が続きますので、上記の『7.(従順型)』 だけで対応していると、上司・先輩は全て『④.独裁者型』 に思えて、厳しいいじめを受けているような心理に陥り、ストレス症に陥る事もあります。 これは若者だけでなく、ベテランでも仕事が変わると同じです。 私が退職前に接した工高新卒18歳の殆どの若者は、入社数か月から数年間はこの状態に陥り悩みました。 中には鬱状態になり退職した若者もいて心を痛めました。
その『魔の3年間』と言われる若手・新人時代を乗切れる強い人間になる為に有効なのは、次の3点の実行です。
  自分の対人姿勢=心の形(エゴグラム)を知り、弱点を強化すること
  『目標とする心の形 (1.リーダー型)を常に意識して行動する 
      心の形は変化する【下の私の実例(=40年間の変化)参照】
  仕事(ビジネス)は全てA(大人の理性=合理性・論理性・知性)で対応する世界であることを認識し、Aを高める努力を継続する


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