インターンシップや応募前見学、採用面接、新入社員教育等を担当して感じるのは、今の若者も昔と変わらず(むしろそれ以上に) 『素直で優秀』 ということです。『新素材開発・新規事業展開、環境問題に真剣に取り組みたい!』 と、希望に胸を膨らませて、誇りを持って入社してきます。 間違いなく『新しい時代を切り開く人材たちだ!』と感じます。
しかし若手社員は『見知らぬ人達ばかりの新しい人間関係の中でうまくやって行けるのだろうか?』という不安の真只中にあり、また物心ついたころから『環境破壊、地球温暖化、資源枯渇、中東・インド・中東などの台頭、少子高齢化時代加速・・』 と、これからの社会、世界、未来に限りない不安を抱いています。
一方ベテラン社員は、豊富な知識と技術力、数々のトラブルや危機を乗切り、改善・改革を実践してきた経験と実力があり、知恵があり、判断力、洞察力があります。 優秀な素材である若手社員の不安を埋め、経験不足を補い、彼らを『未来を担う実力社員に育て上げられるのは、ベテラン社員しかいない!』のです。
そのベテラン社員は、『若手育成・技術伝承の重要性は分かっているが、最近の若手社員は、自分達の若い頃と違う。 自分で考えるのが苦手で、言われたことしかやらない。』 といった事を良く言います。
これは日本中のあらゆる職場で直面している共通の問題です。 高度成長期直後に育った40~50歳台のベテラン社員と今の若者とは、育った環境が全く違うのです。それを踏まえて『まず最初は、若者の目線で対応する』事が不可欠です。
日本能率協会の 『新人・若手社員の意識調査結果』 によると、若手社員は 『上司・先輩に丁寧な指導を期待し、人間的魅力を求める。』が第1位です。
若手が『上司、職場の人間関係が心配』と、上司・先輩との密接なコミュニケーションを不安に思っているのに、ベテラン社員は『指導する時間が持てない程に忙しい状態』で、 分からない事を質問しても『まず自分で調べてこい!』と叱られます。『調べても分からないから聴いたのに・・』という思いが重なると職場が嫌になってきます。
それでも若手社員が頼りにできるのは先輩しかなく、本心から 『早く一人前になって、尊重される人間になりたい!』と思っています。それに対して先輩社員は 『基礎知識、基本操作を徹底して身につけよ!』と叱咤します。ここに大きな意識のギャップがある事に気付かないまま『最近の若い者は・・』と捉えてはいないでしょうか? ベテラン社員が、このギャップに気付き、目線を下げて木目細かく対応しない限り、このギャップは中々埋まりません。
若手が弱々しく見える背景には、少子化で家庭でも学校でも、大事に甘やかされて育てられてきた事があります。そういうハングリー精神のない弱々しい若者を、常識のあるタフでチャレンジングな社会人に育てるには『階段を一歩一歩登るような丁寧な指導=本当に理解したかを根気よく確かめ、焦らず、気長に密着して指導していく事』が肝要です。
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