2024年11月7日木曜日

1-6. チームの心をひとつに

     部下・後輩を持つようになって一番悩むのが『一人一人異なる個性を持つメンバーの心を、どうやったらひとつに出来るか?』ではないでしょうか? その悩みに答える素晴らしい本があります。『チームの心をひとつにする方法』 著者:村田祐造(日本実業出版社)です。
 是非ご一読をお勧めします。今回はそのエキスをお伝えします。

 私達の職場は、厳しい経済戦場です。
 色々な課題や達成目標が次から次へと指示され、ひとつ片付ける度に更に2~3増えており、『これでは大変さを増す一方ではないか・・』と、暗澹とした思いに駆られているのが本音ではないでしょうか? 『ワクワクしながら目標へ向かって計画・実行・挑戦する』などとは、夢のまた夢、遥かほど遠いのが現実だと思います。

 こういう状態で、本当に挑戦的目標は達成できるのでしょうか?皆が毎日、ワクワクした気分で出社し、挑戦的課題・目標に真正面から取組むにはどうしたらよいのでしょう?
 その為には、感情レベルで共感し『それなら本気でやってみよう!』という姿勢が一番大切だと、この本の著者は述べています。
 それでは目に見えない感情の世界の構造はどうなっているのでしょう? 

燃えるようなワクワク感情に結付けるには『普段、見落としやすい感情の世界(見落しやすい5点のポイント)』に着目する事が大事です。
 ①敬意・・ベテランも若手にも『相手を一人前の大人』として扱うこと
      が大切です。
 ②傾聴・・そして相手の意見をシッカリと傾聴することです。
 ③感謝・・敬意と傾聴で感謝の気持ちに火が付きます。
      こうなったら一気に『ワクワク感情』に突き進みます。
   ④寛容・・失敗を咎めてばかりでは気持ちが萎えてきます。
      『二度と失敗しない為にどうすればよいか』を考えさせる
      寛容の心が必要です。
 ⑤配慮・・成功しても、更に高い目標に向け挑戦の道筋をアドバイス
      していく事も大切で、大きく飛躍する機会教育になります。

 次に、この5つの大事な事を具体的にどう取組めばよいのか述べます。
 ①敬意・・若手には相手を認め敬意をもって接する事が重要で、それ
      により、お互いに尊敬と信頼と感謝の気持ちが生まれます。
 ②傾聴・・なかなか自己表現が出来ず何を考えているか分からない若者
      に対してもイライラせずに、真意は何か、心の奥の欲求は何
      かと、シッカリと心の目と耳で傾聴することが大事です。    
 ③感謝・・そうすれば心に火がともり一気に「ワクワク感情に突き進む
      流れ(フロー)」が出来ます。
 ④寛容・・心しなければならないのは『やる気のない社員はいない』
      いう事です。一生懸命頑張っている社員が失敗した時に厳し
      く叱責したら、その社員は頑張ろうという気持ちがなくなり
      ます。大事なのは『二度と同じ失敗を自分は勿論、同僚や
      他職場にも繰返さない歯止めをする』ことです。それにより
      安全レベルは向上し本人も成長します。こういう職場では、
      それだけでワクワク感情に満たされています。
 ⑤配慮・・例えうまく行っても『もっといい方法は無いか・・更に改善
      できないか』という姿勢が、限りない成長の原動力です。
      『淀んだ水は腐る!』現状維持や保守的な姿勢では退化し、
      チームの活性は生まれません。リーダーは、メンバー個別
      の更なる向上のポイントを把握し、適切でタイムリーなアド
      バイスができるように常に準備しておくことが必要です。
      この緊張感がメンバーにも伝わります。 
 
縦軸に『挑戦』、横軸に『仕事を楽しむ(エンジョイ)』の軸をとると、
最高のチーム状態
私達の目指す領域です。ここでは、チーム全員が挑戦的で力を合わせて頑張り楽しんでいます。どんなに苦しくとも皆が協力して乗り越え、清清しい気分で幸福です。
『楽チン安住状態の領域』
実力があり仕事を楽しんでいても、いつの間にか陳腐化して競争力を失っていきます。そして失敗が目立つようになっても言い訳ばかりで改善しようとせず、どんどん遅れをとり活力を失っていきます。
『スパルタ主義状態』
力のあるリーダーが頑張っているだけでそのメンバーは一見頑張っているように見えても『自ら楽しむことが少なく、やらされ意識の状態』です。これではメンバーは、いつもヘトヘトの疲労感だけで、自主的・主体的に高次元のチャレンジ目標に取り組むことはありません。
『ストレスまみれ状態』
“挑戦意欲なし、仕事の楽しみもなし” で、鬱病等のメンタル不全、病気へと突き進んでいきます。
これは、『社会人の重要な3つの能力』を模式化したものです。
新入社員~実務担当者の段階
専門技術・技能を学び・磨く時代です。先輩から仕事の基本や知識・経験を吸収し、一致協力して大きな仕事を達成しなければなりませんので、『ヒューマンスキル』を身に着けないと成長できません。
課長・係長クラス
職場の部下を束ね、関係部署を巻込み、より大きな視点で大きな課題達成が求められ、経営の一端を担った『経営(課題形成・判断・意思決定)』の能力が必要となります。
経営者
『経営』に専念し、専門技術はマネージャーや担当者に任せます。

この図からわかるように『ヒューマンスキル』は3つの段階を通じ、一貫して重要な【仕事を進める上での基本】となる能力です。 最近、色々な場面で破綻や混乱が多発しているのは、経営効率や利益だけ追求して『最も重要な一人一人の成長や,人間性向上の為のヒューマンスキル教育』 をおろそかにしてきたからではないでしょうか。 

これからは、マネージャー、リーダー層が自らアンテナとなって、最新のヒューマンキルを身につけ、部下・後輩と共に学び努力していく姿勢が、日本再生の最も重要な基盤となるのではないでしょうか。

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