2024年11月8日金曜日

1. 竜馬と色摩氏に学ぶ国際法と危機対応

近代日本の扉を開いた英雄 坂本竜馬にこんな逸話があります。
北辰一刀流の達人で千葉道場の塾頭を務めていた竜馬を尊敬する若者が、あるとき剣道上達の極意を尋ねました。すると「これからの時代はこれだよ」 と懐からピストルを出して見せました。暫くして再会したとき「これからの時代はこれだ」と竜馬が懐から出したのは「万国公法」でした。
 若い時から世界に目を向け「国際ルール」を勉強していた竜馬がその見識を遺憾なく発揮したのが、日本初の海難事故「いろは丸事件」です。
現代日本は国内の小さな器の中で、内輪もめや足の引張り合いに終始してますが、「世界に目を向けなきゃいけんきに。 強力なリーダーのもとで全国民が結束を固める危急存亡の時ぜよ!』 と竜馬はあきれていると思います

竜馬の商社海援隊が、念願の蒸気船いろは丸(150 ton)を手に入れ初荷を大阪に運ぶ途中、紀州藩の明光丸(887 ton)と衝突し沈没します。 日本初の商社設立に喜び勇んでいる時に突然会社消滅の一大危機です。積荷の損害賠償責任も背負うことになります。 
明らかに非は左回航義務の海洋法を怠った明光丸にあります。しかし「万国公法」に無知な紀州藩は、幕府親藩を盾に事件を無視しうやむやにしようとします。 竜馬は万国公法に基づき一歩も引かず、長崎市民の支持や外国船長の仲裁を得て全面勝利し、賠償金83,000両を獲得します。
「脱藩浪人集団の自分達が、将軍実家の紀州藩に勝利した!」  
これを契機に『旧弊に胡坐をかく幕府に日本を任せておけない』と竜馬は悟り、討幕、維新へと突き進むのです。(司馬遼太郎 「竜馬が行く」 第7巻)

 それから150年、私達は竜馬の国際感覚を発展・成長したでしょうか?
 日本は今、明治維新や先の大戦同等以上の大国難に直面しています。世界の警察官として役割を果たしてきたアメリカは、国力を落とし同盟国の協力なしには台頭する中国の傍若無人をけん制することもできません。
 その中国はトランプ退場で敵なしと傲慢さを剝き出し、コロナ禍発生・拡散の責任を糊塗して世界の救世主のように振舞い、硬軟織り交ぜて2050年までに世界制覇を平然と公言するまでになっています。その言葉通り、香港は「50年間の1国2制度維持条約」を20年で反故にして強権弾圧、台湾は武力統一を公言し、南シナ・東シナ海での戦争危機が高まっています。

 この危機の中で平和ボケの私達日本人は『日本の生命線が断絶される危機』に目を向けず危機意識が全くありません。 待ったなしの憲法改正(=9条改定、緊急事態条項制定等)などの重要課題が目白押しの国会は、野党が相変わらず重要課題を避け、矮小な主張と保身だけのサボタージュ・離散・衆合を繰り返しています。 世界中が自国中心で凝り固まり、中国の脅威が高まる大国難に、責任政党としてどう対処していくかの具体策・設計図を全く示していません。 
TVや新聞は、世界情勢の変化、周辺国の差迫った脅威への日本の対応・課題の視点は全くなく、愚にもつかない報道だけで、もはや無用の長物です。  
 正直私達は五里霧中で、判断の物差しも持たず心もとない主権者です。そういう私達に『竜馬なみの国際感覚』を与えてくれる絶好の必読書があります。 
 それは、『日本の死活問題=国際法・国連・軍隊の真実』 色磨力夫:著(出版:グッドブック)です。これを読むと日本は主権国家の最重要責務を70年間放棄したままの世界一無責任な国家=私達の異常な平和ボケぶりがはっきり分かります。 日本人なら基本素養として、いますぐ購入して熟読したい必読書です。

 色摩氏は1928年生まれ。陸軍予科士官学校に入学した年に終戦を迎え、東大仏文学科卒業後、外務省入省、国連や諸外国大使を歴任し、国際法、特に戦時国際法の第一人者です。90歳となられた色摩氏は平和憲法を唱えておれば戦争に巻き込まれないと信じ切っている現代日本にしてしまったことに、戦後を生き延びた者として底知れぬ責任を感じ、日本人への遺言のつもりでこの本を書いた』 と述べておられます。はしがきの一節を紹介しますが、是非 皆様のご購読をお勧めします。

 街の平和デモ行進が「ママとパパは戦争しないと決めた!」と唱えています。この人たちは戦争を拒否すれば戦争がなくなると本当に思っているのでしょうか? もし戦争がそんな他愛無いものだったら、人類はとうの昔に戦争を廃絶していたでしょう。平和を願うのは誠に結構ですが、敵(戦争)を侮ってはいけません。残念ながら世界に戦争がなくなる兆候はどこにもなく、紛争の種は増えるばかりです。 
近代国際社会は、あらゆる手を考えて戦争廃絶を試みてきましたが、残念ながら戦争はなくなっていません。何故でしょう? それは、戦争は次のようなものだからです。
『戦争は、国際紛争解決の為の最終手段である(ホセ・オルテガ)
平和と秩序は天然自然のものではない。それは誰かによって組織され、維持される必要がある。平和は戦争よりも難しい制度である。』 (コリン・グレイ)

人類の戦争廃絶への必死の努力の歴史は次の通りです。

1.常設仲裁裁判所設立 (1899年)
「法は万能」 という幻想、理想主義ゆえに挫折
2.国際連盟規約 (1919年)
「集団的な公開外交」で戦争を抑止できるという錯覚で挫折
3.不戦条約 (1928年)
  戦争を侵略戦争と自衛戦争に分けて侵略戦争を禁止しようと
しましたが、無理な分類ゆえに迷路にはまりました
4.国連憲章 (1945年)
  国際機関が国家を超える権威と実力を持ちうるという錯覚ゆえに
  無力さを露呈しています。

 残念ながら、戦争廃絶に関して国際社会はここまでしかできていないのです。それをあたかも国際社会は戦争を禁止する方向に向かっていると勘違いしていては、大きな危険を招くことになります。
 戦争の惨禍は、全人類が忌避するところです。それゆえ今では 「戦争放棄」 の立法化が進み、国際社会は、国家間の避けがたい戦争に対して万全とは言えないまでも、その惨禍を最小限にするために、文明社会としてコントロールしようとしています。

 私達が戦争と平和について語ろうとするならば「戦時国際法」 の基礎知識は必須です。万一の場合に、自衛隊のみならず一般国民も、知らないうちに戦時法規違反の戦争犯罪人となってしまう恐れがありますそれだけでなく「国際法で何を禁じているか、何を禁じるまで至ってないのか」 を知ることは、我が国の平和政策を左右します。 
 更に、戦時国際法は戦争の始め方、終わり方についても規定しています。我が国は、先の大戦において、国際法に則り降伏の手続きを行い、降伏条件も真面目に履行しています。つまり、法的にも政治的にも戦争は完全に終了しているのです。にも拘らず戦後のわが国では、この認識が不十分、不正確で、政府高官やインテリと称される知識人でさえ、近隣国のいう歴史認識問題に振り回され反論できないなど、いまだ敗戦に引きずられている面があります。
またわが国では、国連を平和の為の機関と考える傾向がありますが、残念ながら国連は、United Nations (連合国)、大戦で結んだ軍事同盟の延長線で作られ「戦勝国による新秩序の維持管理が目的」 ですので、終戦時の主要構成5か国に安全保障理事会で拒否権が与えられ、名称もそのままです。第1次世界大戦後の国際連盟は敗戦国を平等に迎え入れましたが、国連は戦勝国による新秩序機関ですから、日本を旧敵国とみなす「敵国条項」 を残し、終戦時の世界秩序固定に反すると議決したら、戦争さえも辞さないのが国連です。このところを多くの日本人は錯覚しています。

 仮に尖閣列島や南西諸島に中国が侵攻してきた時、国連の安全保障理事会で解決を図ろうとしても、中国は拒否権を発動しますので解決できません。北朝鮮問題に対しても国連は非難決議を繰り返す事しかできず、結局核ミサイル開発を思いとどまらせるのは、大国アメリカの圧力しかありません。
(したがって、我が国の安全を保障するのは日米同盟の緊密化しかありません。 この日米安保条約の破棄や天皇制廃止を党綱領にうたう日本共産党、またこの党と選挙協力する社民党、立憲民主党等の野党は、亡国を目指す党と言われても仕方がありません。)

 さらに、日本は国防上(=国土、国民の生命財産等を守る) 不可欠な 「交戦権」 を憲法で否認している、世界で唯一の極めて異常な国です。「交戦権」 とは、文字通り、いざという時には戦争に訴えてでも自国を守る権利で、主権国家の核心をなすものです。
 主権国家の必須条件である『交戦権』を放棄し、軍事を他人事としてきた日本では、戦時国際法も、国連も、軍隊も、殆ど関心がなく語られることはありませんでした。しかし今や全国民が避けて通れない事態、時代に突入しています。 歴史の重要な転換点に立っていると言えます。本書が「日本の死活、存続問題」に関心のある皆様の参考になれば幸いです。

 いまや中国の軍事脅威に対して、日本一国では、とても対処できず、安倍元首相はこの約8年間世界を駆け回り、自由・民主主義を共有できる各国首脳と緊密な信頼関係を築いて来ました。菅首相もその路線を継承し、バイデン大統領を始めとするG7首脳とも世界戦略を共有化しました。剥き出しの中国覇権行動に世界中が嫌悪・危惧し、価値観を同じくする自由・民主主義国の堅い連携を構築し、日本の役割・責任に強い信頼・期待を寄せています。 そういう日本の死活・盛衰を決定する重要な歴史的重要な局面を担うのは、主権者の私達一人一人です。 

日本最大危機の原因 =中国共産党の邪悪な本性 を知るには、信頼できる元中国人の 石平氏の著書やエッセイ・コラムで学ぶのが一番適切です。

 石平氏は、元々毛沢東に憧れていた文革少年。 大学時代は民主運動家。 天安門事件の時には日本留学中で、民主化活動の仲間が戦車や銃弾で虐殺されるに至って目覚め、日本で活動するうちに日本を心から愛するようになり帰化しました。そして日本から祖国中国を見つめ直し、日本の危機を強烈に訴え続けています。

   ( 「中国共産党暗黒の100年史」 石平:著 ) 

2014年中国の習近平は「反日を国策」としました。そして三つの国家記念日を制定しました。

➀抗日戦争勃発記念日(7月7日)

➁抗日戦争記念日9月3日)

➂南京大虐殺犠牲者追悼日(1月13日)

あのアヘン戦争・香港割譲、ボア戦争でさえ国家記念日にはしていません。このことは何を意味するのか? 2014年以降、毎年3回国家的記念行事を開いて日本批判の気勢を挙げています。つまり日本を未来永劫「歴史問題」で叩いていくことを国策で決めたという事です。 

こういう 『日本を 永遠の不倶戴天の敵と国策で位置付け、ジエノサイドを続行する中国』 に媚びへつらい、 “共産党政権誕生100周年の祝福メッセージ” を送る二階幹事長ほか与野党の国会議員は、一体どういう神経をしているのでしょうか?日本人としての自覚も誇りも責任も矜持も全く持ち合わせていない “亡国の徒=国賊” と言わざるを得ません。

野党やメディアは、政府の重箱の隅をつつくような矮小な主張や揚足取りではなく、『国際常識・国際法を無視し、非常識な強圧・戦狼外交を繰り広げる傍若無人な独裁国家』 に対して真向対決し、強い非難報道を行う』 ことができないならば全く存在価値はありません。

■中国は2016年7月、フィリピン提訴の 『 「南シナ海の領有権問題」 を巡る国連海洋法条約に基づく国際仲裁裁判所の判決』 を中国は 「ただの紙くずだ、受け入れない」 と強弁、岩礁を埋め立て軍事基地化し、これをもって 『南シナ海は全域中国領海だ』 と勝手に宣言。 『勝手気ままに作った中国法が国際法だ』 と強弁し続けている。

■武漢発の新型コロナ被害が世界中に広がり、2021年6月末で 『感染者2億人弱、死者412万人(米国死者60万人=第二次世界大戦米国死者数より多い)』 という過去最大級の疫病にも拘らず、中国は発生原因究明を拒否・隠蔽。むしろ『上手く抑え込んだ中国に学ぶべきと 放火魔が消防士の顔をしている』 と非難されても厚顔で無視し続けている。

■ウィグルで100万人以上を強制収容し洗脳教育。同化しないウィグル人を虐殺・臓器摘出、避妊手術、強姦・・・ナチス同様の非人道的ジェノサイドに対する国際非難に 『国内問題だ。口出し無用』 と居直り恫喝し続けている。

■香港返還時、50年間は維持すると国際約束した『香港の一国二制度』 を、僅か20年で一方的に破棄し中国共産主義体制下に併呑した。 

『台湾に対しては、武力侵攻も辞さない』 と恫喝を繰り返している

■世界中に中国人を移民させ静かなる侵略を展開。情報・技術の詐取、中国脅威論の恫喝、情報ウィルス拡散

 

世界中が苦しむコロナ禍、変異株で大混乱する中、中国の留まることを知らない脅威=少数民族迫害・南、東シナ海覇権拡大・台湾進攻間近=日本の生命線断絶・・・この差し迫る日本存続危機から目を反らす脳天気で無責任な現代日本人のままでいいのでしょうか? 今こそ厳しい現実に目覚め行動する時です。

坂本龍馬は 「日本を今一度洗濯いたし申し候」 と言いました。150年後に生きる、現代人の私達も今一度自分の心を洗濯し新たな気持ちで未来に向かいたいものです。

【坂本龍馬の名言】

・時勢に応じて自分を変革せよ

・何の志もなく、ぐずぐずして日を送るは、実に大馬鹿者なり

・人として生まれたからは、太平洋のように、でっかい夢を持つべき

・何でも思い切ってやってみること。 どっちに転んだって人間、

野辺の石ころ同様、骨となって一生を終えるのだから。 

・死ぬときは例えどぶの中でもよい、前向きに倒れて死にたい



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