そこで今回は 私の『高校時代の恩師』の教え』を振り返ることにしました。 皆様方も是非、高校時代の恩師を思い出し、連絡を取ってみてはいかがでしょうか?
私の母校は 宮崎の日向学院 で、イタリアのサレジオ修道会が設立した中高一貫教育の男子校(現在共学)です。 高2までに高校3年間の授業を修了してしまう受験勉強一辺倒の進学校でした。 私は高校から編入したのでカルチャーショックに襲われながら、授業についていくのがやっとで テスト、テストの毎日。級友とは勉強以外の話題も少なく、つい最近まで思い出すのも嫌な高校時代でした。 しかし古希を迎えたころから、あの受験一辺倒の授業の中で、『先生方は精一杯の人間教育・徳育をして頂いた!』と気付き、深い感謝の念を抱くようになりました。
【日比野先生のこと】
学校法人日向学院 | 朝の心
日比野先生は、ネットで調べると『S18~23年 名古屋合唱団常任指揮者』となっています。あの朝ドラ「エール」の古関裕而と同じように、戦意高揚のために慰問し、終戦後若者を戦場へ駆り立ててしまったという辛い思いをされたのかもしれません。その思いが、きっと私達学院生への愛情あふれる指導育成の基盤になっていたのだと思います。日比野先生の教え子は、異口同音に『私の人生の恩師です』と述べられています。
先生はその後東京で活躍され『国内3本指にはいる音楽家』と言われるほどの大音楽家で練馬区中村橋に家を持っておられましたが、弟子の三浦洋一氏を著名なピアニストに育て上げ、家財産を全て無償で三浦先生に譲り、日向学院に赴任したと聴いています。日比野先生は、ドイツ語、英語、イタリア語が堪能で素晴らしく、全てのオペラ、宗教曲、歌曲、ピアノ曲を暗譜しているスーパー芸術家でした。
江頭先生は学生寮近くに住んでおられたので、よく家に呼ばれ遊びに行きました。子供のいない江頭先生は、私達をまるで自分の子供の様に可愛がって戴きました。受験校のため2泊3日の軽い修学旅行でしたが、担任でもないのに皆の写真を沢山撮影して、後で全員に自費で配布されました。 私は15枚いただき、少ない高校時代の思い出として大事な宝物です。
【何回もお世話になった丹生豊満先生】
高校編入組は、中学の卒業式が終わると直ぐに日向学院に集められ、すでに1学期分の高校課程を済ませている中高一貫組に追いつくための課外授業が始まりました。マックリンデン先生に鍛えられた中高一貫組の英語力には、本当にカルチャーショックを受けましたが、数学は得意で 自主的に高1課程まで勉強していたので苦労はありませんでした。しかし担任の数学教師(西島先生)は受験テクニックONLY、テストテストで毎回成績順発表をする「追たて型教師」で、また雑談で奥さんの事をいつも「家の飯炊き」と蔑称呼ばわりされるのでウンザリ、段々数学授業が嫌になっていきました。
そして2年生次に西島先生は脳梗塞で倒れられ退職。担任は国語の大川亀吉先生、数学は横浜国大を卒業された若い丹生豊満先生となり、ようやく数学らしい授業になりました。 その後、私は大学工学部進学失敗を痛感、教育学部で高校数学教師課程も同時履修、4年次に日向学院での教育実習の指導教官が再び丹生先生でした。私は自分の面白くなかった高校授業経験から「君たちが履修している数学は大学ではこういう展開になる」と授業内容に加えました。しかし丹生先生の教育実習評価は「良=70~80点」、そのコメントは『このクラスの生徒には難し過ぎる。生徒のレベル合った分かりやすい授業を心がけてください』でした。
先生いわく、『源氏物語は女性が憬れるデカダンスで、つまらないから皆さんは読まなくて良いですよ。 日本文学の最高峰は高山樗牛 (ちょぎゅう) の ”滝口入道” です。 これだけは高校生時代に原文で読みなさい』。『高山樗牛?』 聞いたこともない作家の名前でしたが、早速図書館に行って読み、本当に美しい文章で、人生で大事なことを考えさせられて感動しました。(山形県鶴岡市出身の文豪で、家内が鶴岡生まれなのも何かの縁があるのかもしれません)
後年、私の二人の息子が『高校では何であんな呪文のような訳のわからない古文を勉強しなければならないんだ!』 と不満ばかり述べて、国語と社会科の試験がない大学に行きましたが、この吉垣先生のような魅力的な古文の先生がいなくなったのだな・・と残念に思いました。
本当は 『純粋な心の童謡詩人』 だった吉垣先生。『童謡集』の作品の一部を紹介します。
時計の中
小さな銀の うで時計 お耳にあてて 聞いてみりゃ
時計の中は いい日より 誰かが
かけっこやっている
とても元気な ユニフォウム チクタク チクタク 駈けている
花
ばらはきれいな お姉さま 赤いリボンで 結びましょう
ゆりはやさしい お母さま 銀の花瓶に さしましょう
ボンボンダリアは 赤ちゃんよ かわいい顔です 見てごらん
天使
子供がひとり 死にました かあさんと別れて 行きました
けれども天使が 下りてきて 子供をやさしく 抱きました
よい子よ泣かずに いらっしゃい きれいな花の 天国に
かわいいスミレの 花束も 一緒に抱いて 行きましょう
天使と子供は 夕ぐれの 光の中を 飛びました
お爺さま
お爺さまは 石が好き じっと見てます 窓の中
「石はいつでも 美しい」 雨にぬれてる 庭の石
お爺さまは 本がすき きちんとすわって 読まれます
「百年昔の 本ですよ」 虫のつづった 古い本
お爺さまは お茶がすき お茶をのみます えんがわで
「うちの番茶も いい香り」 大きな湯呑みに
梅の花
夏
夏は何処からやってくる
金魚屋さんのかついでる 金魚金魚についてくる
夏は何処からやってくる
冷しい風を吹きたてて 郊外電車にのってやってくる
夏は何処からやってくる
「いい天気ですね」と日曜日 中野のおばさんといっしょに来る
はなの な
いちばんはじめに はなのなを かんがえたひとは だれでしょう
それは やさしいおじいさんか それは きれいなおばあさんか
あなたのなまえは チューリップ あなたの名前は パンジーよ
バラに アネモネ ヒヤシンス カーネーションに
スイトピー
かわいいなまえを 一つずつ だれかがはなに なまえをつけました
きつね
むかしのきつねは ばけました かたなをさした おさむらい
きれいなふりそで おひめさま ぎょうれつつくって およめい
ちらちらちらつく ひでりあめ
いまのきつねは ばけません どうぶつえんの
おりのなか
こどもがわいわい さわいでも おひるねしていて いいきもち
おひるのサイレン なっている
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