2024年2月3日土曜日

9. 大学 レポート④「感動の成長」2017

  都心近郊の某大学英米語学科のキャリア講師を担当しています。
 毎年 学生の質は向上しており、中でも今年の学生は 『真面目で柔軟、自分の将来の事を良く考えており、傾聴姿勢が身に付き、チーム仲間の事を良く考えて行動できる!』 と講義の度に驚かされました。 これは2~3年前とは全く異なる状況で、脱ゆとり世代となった昨年からの顕著な傾向です。
 この大学はネット情報偏差値では35。 殆どの学生は希望大学入試に失敗して劣等感をもっています。 開講時の態度は 『どうせ自分が入れる大学は大したことないから・・自分はダメ人間だから・・』 と斜に構え 中々心を開かないので、私は最初に次のようなことを話します。



   本大学の教育目的は 『人間力の強化』 であり本当に素晴らしい大学だ。 それを象徴する キャリア教育のクラス編成 は20~25名という少人数で、こういう大学は日本中どこにもない。皆さんの成長に本気で取組んでいる証拠だ。東大、京大、早・慶大等では200人以上の大教室で出欠も取らない。
  この講座の講師は、社会を熟知した知識経験豊富な企業OBだ。この授業に真面目に取り組めば、皆さんは間違いなく、社会に貢献できる実践力のある素晴らしい人材としての基礎ができる。
  神様が人間に与える幸せの総量は同じだ。 有名大学卒が必ずしも幸福となる訳ではない。そういう大学を出た政治家や公務員や社長たちが、目を覆うような自己中心で反社会的な不祥事を起こしたりしている。受験勉強最優先で大事な『人間性の修養』 を怠っているからだ。 大事なのは大学の知名度ではない。自分が在籍する大学を最大限活用して人間性を磨くことだ。 最高学府で学ばせてくれる両親に感謝し精一杯努力する事だ。
  責任ある大人として、欠席遅刻しない事。欠席遅刻する人間は実社会で信用されず相手にされない。チーム活動主体のこの授業では、遅刻欠席はチームの仲間に多大な迷惑をかける。やむを得ない場合は、必ずメンバーにLINEや携帯で事情を連絡する事。 (グループ編成時にアドレス交換するように指導しており、仲間意識醸成に寄与しています。)

1.学生達の『キャリアプラン(輝かしい10年後のビジョン)』
入学2週間では隣の学生と話したこともない孤独な学生たちが、14週後の閉講時には、チーム内で活発に議論し、協働し、ぼんやりしていた夢に肉付けして、具体的で立派なキャリアビジョンを描いています。 まずは私クラスの学生達が書いた私のキャリアプラン・卒業後のビジョン(10年後に自分はこうなっていたい) 』 を数件紹介します。『自分のビジョンに向かって、この大学で学ぶ意味 』 をしっかり認識しており、講師の私も目頭が熱くなるほど感動させられます。 力強い具体的なアフォアメーション(自己宣言)が出来ているので、必ず実現するだろうと確信しています。 同年代の若者の皆さんも是非参考にしてほしいと思います。

○英語力を生かした国際俳優として活躍し映画に出演しています。 仕事を始めてから少しずつ貯めたお金でお父さんに大きな家をプレゼントしました。家にある大きなスクリーンで家族と自分の出演する映画を観ています。海外作品に出演するために英語と映画の勉強を続けています。 (そのために大学時代は、年間250本以上の洋画DVD英語版を視聴し、留学し、英検準1級を取得し、受かるまでオーディションを受けます。)
○警視庁で働いており、大学時代に身に着けた英語力を生かして国際捜査課で活躍しています。毎日忙しくはありますが自分の長所を伸ばすことが出来、とてもやりがいのある仕事をしています。 (そのために大学では公務員試験に取り組み、剣道や筋トレに励み男に負けない体力作りに取り組みます。)
○中学の英語教師をやっており、現在中学3年生の担任です。今年受験なので、生徒たちが希望の高校に合格できるように力を入れて英語を教えています。部活ではバスケットボール部の顧問をしており、英語同様に力を入れて取り組んでいます。 (そのために大学では留学して世界の文化に触れ、長期ボランティアをして人間性を高める。塾のアルバイトにも取り組み教え方を磨く。)
○通訳士に向け海外のアパートに滞在し、地域の人達と現地の言語で交流を深めています。そして自宅アパートでは、母国の勉強をしながら、TVニュースや新聞から世界の政治や文化など幅広い分野の知識を身に着けるべく猛勉強しています。
○ディズニー・オフィシャルホテルのシェラトンホテルで働いています。仕事は主にドアマンですが、ゲストを最初に迎える遣り甲斐のある仕事だ。職場の仲間や上司も皆良い人ばかりで、とても、とても楽しく仕事をしています。日本人だけでなく外国人にも最高のおもてなしをしたい。その為には2~3年でホスピタリティ・ツーリズム学科的な授業も受けたい。)
○都内のアパレル店本社で働いています。5年後は、現在アメリカでマーケッチングを勉強している友達と共同経営で独立する。そして友達が海外で買い付けを、私は国内販売を担当して経営は軌道に乗っている。
○海外で日本人相手の海外観光案内の仕事をしている。この仕事は観光案内する土地について色々覚えなければならず大変ですが、色々な人と知り合うことが出来、とても楽しくやりがいを感じています。

2.閉講時ふりかえりレポート (心を打つ感想が多く、講師冥利に尽きます!)
 ○この授業を受けて自分を良く知ることが出来ました。マークシートで自分の性格の特徴を発見したり、チームプロジェクトの中での自分の役割、今の自分の中にある無限の可能性等を先生や仲間に気づかせてもらいました。何事も真面目に取り組んでいると“面白い”と感じるようになってくるものです。イヤだな面倒だなと思ってしまううちは、まだ自分自身が本気になっていない証拠です。今の学生時代に何か一つ人より優れた力を身に着けたいと思います。夢への希望を与えてくれた先生に感謝します。本当にありがとうございました。
 ○担当の先生がとても優しく、私達の事を一生懸命考えてくれて熱心に授業してくれたのでとても嬉しく思っていました。この授業を通して、自分の長所・短所、未来のビジョンについて熟考し、とても前向きになれました。この授業で学んだことを活かして、これからの生活に生かしていきたいです。本当にためになりました。有難うございました。
  ○この授業を受けて、自分の将来ビジョンがより明確になり、今の自分とはどんな存在なのかをより深く理解できた。またプロジェクトリーダーとして活動して色々なことを学んだ。また先生の人柄の良さもあり毎回の講義を興味深く関心をもって受講できた。この授業受講前と比較して凄く成長したと思う。この気持ちを忘れず、将来の夢に向かって頑張りたいと思う。凄くためになる講義をありがとうございました。
 ○今まで将来どうなりたいとか本当に自分がしたいことなど、ここまで深く考えたことなどはありませんでした。授業を受けていくたびに、徐々に目標や夢が具体的になり、今ではそれに向けて、これからの大学4年間努力していこうと本気で考えるようになりました。有難うございます。
 ○4月から4か月間の短い期間でしたが、自分が成長できたと実感できました。それ以上に周囲のクラスメートは将来について考えていることに驚きました。私もこれから勇気を振り絞って何事にも積極的に取り組んでいきたいです。短い間でしたが有難うございました。

3.素晴らしい成長を遂げた若者達の心の形(エゴグラム)の変化
 中々定量化して把握できない『若者の心の成長、人間力の変化』ですが、私はエゴグラム分析を使って学生自身の心の形を可視化し、キャリア教育前後でどう成長・変化したかをフィードバックするようにしています。その結果ほとんどの学生が、弱点を意識し改善に取り組んできたことが分かります。
次の表は、講義開始(4月12日)と閉講直前(7月6日)の20名のエゴグラム集計です。個人としてだけでなく集団としても大きく成長したことが分かります。
  大半が大人に脱皮 ・・ (CP,NP向上 > FC(自由奔放な子供 抑制)
  NP(思いやり)大きく向上・・NPは気質や母親からの刷込みに由来し、後天的には中々向上しないが、殆どの学生が向上。元々身についている性格を素直に表現するようになったもの。

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