2024年11月7日木曜日

1-6. 大学「成長実績グラフ」2018

 企業退職後、大学キャリア講師を3大学で延べ10年間担当しています。
 元々大学キャリア教育は、『就職後3年以内の退職率30%以上が長年続く状況を打破しよう』 という目的で、2011年から大学必須科目となり文科省の補助金下でスタートしました。私は運良くその初年度から担当する事になりました。
 そして10年間、私達企業OBは豊富な経験と知識を活かして、『若者が社会で活躍できるように人間力強化を支援し成長させる』 というビジョンを持って取り組んでいます。 毎年加える工夫改善により、学生の成長の手ごたえは大きくなっており、講師冥利を感じています。
 私が前期担当するM大学の英米語学科は、今回通常の成績順クラス編成を解体ミックスクラスとして、実社会に準じたメンバー編成としました。 
  『意欲のない者の狎れ合い=悪貨が良貨を駆逐する状態を排除』したかったわけです。 これは効果的で大成功でした。約3か月間程よい緊張感の中で、学生は真剣に取り組み、段々打解けてチームワークが強固になっていく様は感動的でした。
































今回はその成長が可視化できるエゴグラムで振返り紹介したいと思います。
柔軟で前向きな学生たちの成長ぶりを思い出しながら胸を熱くしています。

1.第一チーム
学科5クラスでダントツの全体優勝』
Kリーダーがメンバーの力を引出し活発な議論、調査、取り纏めを実施。
14回を通じ、欠席・遅刻・私語ゼロ
(エゴグラム変化学生感想)
 ①3か月の自分の変化が出て面白いと思った。










2.第二チーム・・・『中身が濃かったで賞』 
クラス内で最充実の活動展開。
   Ⅰリーダー中心にメンバーの夢実現に繋がる4教官をインタビュー調査・分析、PP資料纏め、発表は、学年最高レベルの内容だった。 「プレゼン4分間の制約」で 内容が煩雑になり優勝を逃したが、『10分間のプレゼン』ならダントツの学年優勝だった。
(エゴグラム変化学生感想)
  ①  とびぬけて高かったFCが下がってホッとした。アイドル型からリーダー型に変化して嬉しかった。3か月もあれば自分を変えられるのだと改めて実感した。
  ②  全体的に前回よりも上がって嬉しかった。特に相手の話や気持ちを意識的に感じ取る部分が向上したと思う。自分の強み、弱みを把握していることでそれを自分で補おうとする気持ちになり、自分自身の向上に繋がると思った。
 ③  自分で一番気づきにくいNP(世話好き)が向上し、相手を尊重できるようになってきたことが分かり嬉しかった。

3.第3チーム・・・『頑張ったで賞』
全員がおとなしいチームだったが、Kリーダーが皆の力を引き出した。特に誰もパソコを持っていない危機の中、発表一週間前にリーダーが購入し、パワーポイントも率先して纏め、チーム代表発表も引き受けた。 その発表はクラス代表としても何ら遜色がないほど、良く整理され中身の濃い内容だった。
   (エゴグラム変化学生感想)
  ①  最初キチッとしていた(CP)自分が、3か月後少しユルクなったことが分かった。
  ②  あまり変化はなかったが、A(合理性)が少し向上。FC(自由奔放)が高すぎるので治していきたい。
  ③  全部の項目で3か月前より下がっていた。自分が気づかないところで積極的になっていなかったのだと思った。これからはもっと積極的になりたい。

4.第4チーム・・・『盛り上がったで賞』
メンバー6名(長期欠席者を差引くと5名)中、グランドスタッフ志望が3名いて、一見賑やかに話し合っていたが中身は薄かった。 Rリーダーが明るく人望があったが、ヨット部試合で3回公欠の間、全く沈滞して前に進まなかった。
     大學教員へのインタビューをしなかった唯一のチームで、リーダーが松山空港勤務の友人に電話して得た情報を纏めただけのプアな内容だった。従ってメンバーの成長も少ない。
(エゴグラム変化学生感想)・・・言及なし





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若者への応援歌: 8.あなたの心はどんな形ですか? 


10年前に試行錯誤で着手して、自分の講義の拙さに自己嫌悪に陥ることの多かった大學キャリア講師ですが、最近では学生一人一人の個性・性格に配慮しながらチーム指導、個別指導ができるようになりました。 学生達も3か月の間に大きく成長して、頼もしい大人の顔になってくることを実感しています。

しかし大學キャリア教育はいま風前のともしび状態です。
この大事な 『社会人準備講座』 の効果評価も定着化もないまま、文科省の補助は3年で打ち切られ、今また私学助成金削減して高等教育無償化の財源にしようという文科省の方針で『企業OBによるキャリア教育は打切り=大学教員による内製化で人件費削減』 の流れになっています。
『企業で働いたことのない大学教員に、どうやってキャリア教育=入社3年以内退職しないような心の強靭化の授業が出来るのか? 2011年スタート時の問題意識は抜本的に改善出来て今後は退職率30%以下になっていくのか?』 そんな事はお構いなしです。

3年周期の文科省内人事異動で新しい方針を打出し、それまで3年間の施策が骨抜きになっていく・・・日本の硬直的で場当たり的な教育行政の無責任さを改めて痛感しています。 
元々官僚は大学卒業と共に入省し、教育現場経験も、企業で仕事をした経験もない頭でっかちです。 それが3年ごとに異動し、有効性も関連性も継続性も責任感もない思いつきの机上論の施策を、そのまま垂れ流します。・・・末端で教育現場に携わる心ある教師・講師がどうあがいても、無責任で混沌としたブラックホールに飲み込まれていきます。 私達キャリア講師は、巨像の前のアリ状態の無力感を感じながら、『この国の教育は一体どうなっていくのだろう?』 と呆然と立ち尽くしています。

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