2026年9月19日土曜日

16. 感動の「層雲峡・黒岳の絶景」

  日本の紅葉は大雪山から始まります。中でも赤岳の登山口になっている銀泉台は標高1500m(本州なら2500m級)の高度があり9月中旬には真赤に染まり、是非一度は訪れて欲しい絶景です。また大雪山の東側の層雲峡は、西側の天人峡とは趣の異なる柱状節理の絶景で『銀河の滝、流星の滝』が天空から流れ落ちる様は、この世のものとは思えない美しさです。そして大河 石狩川へと合流します。

 これらの絶景を発見し 格調高い命名をしたのは、明治・大正の美文随筆家の大町桂月『大雪山の父と今も称えられます。桂月は、大正10年8月層雲峡を出発し、当時は登山道もなく名前もなかった桂月岳に苦労しながら登頂、黒岳、北鎮岳、白雲岳、旭岳に登頂しています。その紀行文 「層雲峡より大雪山へ」は大好評となり、大雪山の魅力が日本中に広がりました。そして天人峡温泉に記念碑が立てられ、紀行文冒頭の有名な一節が刻まれました。

富士山に登って山岳の高さを語れ 大雪山に登って山岳の大きさを語れ(大町 桂月)

1, 日本で一番早く紅葉する『銀泉台』

 真っ赤なナナカマドやモミジが見事です。
『銀泉』の名称は、石狩川の水源、層雲峡の名勝 "銀河・流星の滝" の水元がこの近くから湧き出していることから『銀泉台』と名付けられました。赤岳2078mの登山口にもなっていますが、私たち夫婦は、この紅葉の絶景を堪能したら大満足で、そのまま層雲峡温泉に引き返しました。

雲影に覆われた銀泉台は、それなりに美しいのですが・・雲が去り日光に照らされると景色が劇的に変化します。金銀が混ざったような「輝く真紅」となります! これぞ「神々の遊ぶ庭だ」と絶句します。

2, 左から黒岳1984m、桂月岳1938m、凌雲岳2125

2000mにも満たない真ん中のピークが『桂月岳』と命名されたのは、大島桂月が大正10年(1921年)8月22日、層雲峡を出発し目指したのが当時無名の桂月岳だったからです。獣道もないハイマツ帯をヤブカキで苦しみながら岩石をぬって山頂に達、大雪山系縦走を果たし、26日に天人峡温泉に到着、宿泊しています。
 層雲峡から見る桂月岳は、左に異様なピークの黒岳、右になだらかな凌雲岳を従え、『大雪山の盟主』のようなアルペン風格を感じます。

3. 層雲峡の断崖絶壁の2名瀑

左が優美な『銀河の滝』、右は水量の多い豪快な『流星の滝』。秋は、この絶景を錦繡が彩ります。
『層雲峡、銀河の滝、流星の滝、大函・小函』などの格調高い命名は、大町桂月によるものです。桂月は明治2年高知市に生まれ、『桂月』の雅号は月の名所桂浜に因んでいます。・・美文随筆家として、韻文・随筆・紀行・評論・史伝・人生訓など多彩で、格調高い文体から人気を博しました。

4, 黒岳ロープウェイと紅葉

足の不自由な方でも、層雲峡温泉街から一気に黒岳中腹に連れて行ってくれます。終点からはスキー用のリフトが7合目(1510m)まで連れて行ってくれます。ここから黒岳山頂までは470mほどで、夏には小学生連れの家族登山を楽しむ人も多く見かけます。一般的に標高差100m15分ほどなので、1時間ほどの頑張りで比較的手軽に登れる感じがしますが、山慣れぬ人がチャレンジできるのは、7月〜8月の晴天時だけです。気象条件は『北アルプス以上の厳しさ』ということを肝に銘じておきましょう。

 黒岳ペアリフトの足元にもウメバチソウなどが咲くので、夏山でも登山の用意がない場合は、7合目で引き返しましょう。7合目から片道20分ほどの
「黒岳カムイの森のみち」が用意され(黒岳七合目登山事務所近くに入口が)、トレッキング気分を味わうことが可能です。

5. 層雲峡から黒岳へ

黒岳山麓の層雲峡温泉から5合目(標高1,300m)まで高低差629m7分で結びます。
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合目から7合目までは、黒岳ペアリフトが結んでいます。ロープウェイ黒岳駅から約200m離れた場所に乗降場があり、所要時間は片道15分。春夏秋は観光客や黒岳登山者が、冬は日本一早く滑れるスキー場として人気があります。

6. 巨大な「お鉢平」カルデラ

大雪山は100万~70万年前に活動を開始しました。3万年前、大雪山史上最大の『お鉢平カルデラ噴火』が発生しました。 大規模な火砕流が石狩川上流や忠別川上流一帯に噴出し、 直径約2kmのカルデラが生じ、周囲は最大250mの厚さの火砕流が堆積し溶結凝灰岩で覆われました。やがて長い年月をかけて、東は石狩川が層雲峡を刻み、西は忠別川が天人峡を刻み、柱状節理の断崖絶壁の見事な景観を作り出しました。
写真左奥のピークは、北海道最高峰の旭岳です。(これは気象庁掲示の画像です)

7. 大雪山の地形図

 巨大な山体の旭岳や北鎮岳等の山体をすっぽり収めてもまだ余る半径2kmの『御鉢平』の巨大さが良く分かります。約3万年前にカルデラ大噴火した際に周辺に大量の溶岩・火山灰で覆い、それが固まって厚さ200m250mの溶結凝灰岩となり、北側を石狩川が削って層雲峡が、南側は忠別川が削って天人峡の絶景が出現しました。

この地形図の中央右端あたりが銀泉台です。御鉢平カルデラ跡は、巨大な火口湖でしたが黒岳側の火口壁が壊れ、湖水は流出しました。3万年を経ても御鉢平からは有毒ガスが発生しており、過去ガス中毒で死亡事故があり、また時々迷い込んで中毒死したクマの死骸が遠望されます。カルデラ内は立入り禁止となっており、絶対足を踏み入れないようにしてください。

8. 「層雲峡と天人峡」

北海道第二の都市旭川市の旭川空港から「旭岳温泉・天人峡 行」「層雲峡 行」の2つの観光路線バスが出ており便利です。ただその2大観光地は巨大な大雪山を挟んでいますので、最低2泊3日は欲しいところです。両方とも観光だけでなく有数の温泉地でもあるので是非それぞれに一泊して汗を流し、旭川市では有名な旭川動物園も訪れたいものです。

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