2024年7月5日金曜日

7. 中国原発リスクと日本の役割使命 

 人間社会において電気は、水や空気と同じくらい重要です。
 しかしあまりに当たり前に供給されているが故に、私達は電気の重要性認識や感謝の念が極めて薄いように思います。 ところが地震・台風等の停電事故で供給を絶たれると途端に不平・非難の声を上げます。また地球温暖化が気になるときは原発を礼賛しながら、放射能が気になると原発は許さないとして、不安定で代替とならないコスト2倍の太陽光・風力・火力にしろと喚きます。 そして火力発電比率増大でCO2排出は増え続け、再使用可能エネルギー分担金コストで電気料金が値上りすると文句を言い、COP21のCO2低減にも貢献が必要と矛盾する事を要求します。・・ロシアのウクライナ侵略を止めさせる最も有力な経済制裁は『ロシア産ガスを即時止める事(代替として原子力発電再稼働を最優先する事)』は明白ですが、日本政府も欧米も、無知な世論を啓蒙し導こうとする姿勢は全くありません。

日本人は原発事故を恐れるあまり、国内の原発をゼロにしろと要求します。
しかし一方で中国は東シナ海沿岸に50基以上の原発を建設中で、将来的には273基 2億8134万Kw (世界現在429基 3億8323万Kw。日本48基4426万Kw 全停止後運転再開4基)で、中国が世界の6~7割を占めるようになります。
 『中国での原発事故発生確率も高くなり、その場合にはジェット気流で高濃度の放射能が日本中を襲う危険性が高くなる』という事には全く関心を示しません。天津市の大爆発事故の原因究明や再発防止策が全く伝わらず、高速鉄道事故時 中に人が残っているのに土に埋め証拠隠滅しようとする国です。原発事故時に中国が迅速に適切な対応をするとはとても思えません。 そういう時、日本が速やかに国際協力する為にも『世界最高の安全な原発技術、事故対応・廃炉技術の確立・維持・向上を継続』していく必要があります。 世界的には、原子力発電は『CO2排出ゼロ、低コスト発電』としてこれからも主力で、特に開発途上国では原発建設ラッシュが予測されます。 そこでも一番安全と期待されるのは日本の原発技術です。
数年前、広島高等裁判所が阿蘇の破滅的噴火が9万年前に起きているから、130km先の伊方原発は火砕流に巻き込まれるかもしれないので停止せよ。と愚にもつかない妄想狂のような仮処分判決を出しました。そういう破滅的大噴火の時は九州全域が火砕流で全滅して原発だけ考えても無意味だという事は子供でも分かる理屈です。こういうカタツムリのような縮み思考やヒステリー対応では、日本の前向きな活力は消滅して産業は衰退し、世界の誰からも相手にされず世界のお荷物になってしまうでしょう。

私は石油・化学工場の電気技術者として約25年 (15年間は人事関係) 生きてきました。この工場でも『電気は水や空気のように供給されるべきもの、事故は絶対起きないもの』 として、平常時は関心すらなく、一旦トラブルがあって困窮すると『日頃電気屋は何をしていた!』 と非難される職種でした。停電となればポンプやコンプレッサーの駆動源=モーターがすべて停止する為、石油・化学工場は稼働できず鉄の塊になります。それを避けるために、1000人の工場で約10人の電気技術者が1年365日、トラブルなく安定して電気供給できるように点検保守し、2年ごとの定期停止検査・補修で2年間の無事故無故障を保証し健全な運用が出来るように日夜知恵を絞り対応しています。

しかし、それでも人知の及ばない電気事故・故障は発生します。
その最大のものが、東日本大震災の大津波で発生した東電福島原子力発電所事故です。10mを超える大津波で非常電源喪失、配電盤水没となり、手探りの状態で吉田所長と所員が決死の努力をして、チェルノブイリ事故10倍の破滅的事故にも発展しかねない事態をギリギリの線で食い止めました。その時の状況を今は亡き吉田昌郎所長は、こう語っています。
『もうだめかと何度も思いました。私達が置かれた状況は、飛行機のコクピットで計器も全て見えなくなり、油圧も何もかも失った中で機体を着陸させようとしているようなものでした。現場で命を懸けて頑張った部下たちに、ただ頭が下がります。』
『死の淵を見た男 (吉田昌郎と福島第一原発の500日)』 門田隆将 :著

私達が当たり前のよう使っている電気の有難さ、その供給に命を懸けて頑張っている人々へ思いを巡らし、感謝を忘れないようにしたいものです。

7. 『失敗学のすすめ』に学ぶ

●18年前に予測されていた今回の大津波の被害
皆さんは左の写真を見たことがありますか? 18年前に発刊された『失敗学のすすめ』 (畑村洋太郎:  講談社文庫)に紹介された写真です。

畑村氏は、この本で失敗情報は伝わりにくく、時間と共に忘れ去られていく』指摘しています。その典型例がこの三陸海岸で繰返される津波被害です。 明治と昭和初期の三陸海岸大津波災害が起きた場所に、二度と津波被害には会いたくないという思いで、『ここより下に家を建てるな』 という石碑が数多く建てられました。 しかし50~60年も経つとその石碑の下に多くの住宅が建てられました。 恐らく今回の大津波ではその多くが飲み込まれたのでしょう。 
畑村氏は、便利さを優先させ先祖が残した教訓を忘れてしまった』と13年前に警告を発しておられましたが、残念ながら今回も約2万人の死者・行方不明者という悲惨な災害が発生しました。もしこの教訓が活かされていれば多くの命は救われたかもしれません
 三陸海岸では、60100年周期で約2万人規模が死亡する悲惨な津波被害が繰返されていますが、これを根本から断切るには『何にも代え難い尊い人命を失わない事』 という大義・根本理念を最優先すること、即ち 『①今回津波が押し寄せた範囲は今後居住区とせず全て高台に移転する』 、『②堤防は今回の津波以上の高さとすること』を、復興対策の柱とすることではないでしょうか 
  しかし大災害後1年経過して早くも、『景観を失うので堤防の高さは元の高さにして欲しい』 とか『一日も早く元の場所に住みたい』 という希望が多いと報道されています。こういう要望に国も地方自治体も毅然とした大原則を打出すことはなく、ズルズルと優柔不断の対応を繰返し、いつまでたっても解決しません。 悲惨な大災害が繰返されるのは、あるいは、『失敗の本質原因を直ぐ忘れる、大義・基本理念を大事にしない国民性』 だからかも知れません。

201431日の読売新聞特集】で新防潮堤の高さを
当初計画の14.5mから約 半分の5~6mに変更した(大槌町、釜石市)の記事がありましたが、その理由が高すぎると安心して危機意識が薄れかえって逃げ遅れるとあって、少々呆れると同時に、安全意識を共有化する事の難しさを感じました。 岩手県普代村の15.4m堤防(1984年完成)は津波を食止めたにも拘らず、住民は『食い止められたのは偶然。次はダメかもしれないと必死で逃げる』 と話していますが、こういう感覚が正常で被害を最小限にすると思います。


ここに手本とすべき事例がひとつあります。 静岡県東部の富士海岸には高さ17mの防潮堤が20kmに渡って築かれています。1956年の伊勢湾台風、1966年の26号台風の反省に基づき建設されたもので、国土交通省によると日本一の高さで『万里の長城』 と呼ばれています。 しかし残念ながら例外中の例外で、太平洋の南海岸はほとんど従来防潮林のままです。

 この『失敗学のすすめ』は、政府原発事故調査・検証委員長の畑村氏が10年前に執筆したものです。人類の歴史は色々な失敗による大事故の不幸を積重ねた歴史でもありますが、氏は『失敗を繰返さない工夫と努力が創造力を生み社会を発展させた』 、また『失敗の原因の多くは、効率や便利さのみを最優先させた結果引起こされた』 と指摘しています。

●失敗情報の伝わり方・伝え方
 企業や官公庁では、事故やトラブルが生じたとき、苦労して事故報告書を作成しますが、この書類は省みられることは少なく、あまり活用されません。これは失敗情報の纏め方が記述して記録することで終わり、「知識化・伝達」のプロセスがなく、活用できるようになっていない為です。従って他の人が同じ過ちを繰り返すことになります。 失敗情報は、人間が物事を理解する順序に従い、①事象、②経過、③原因、④対処、⑤総括、⑥知識化、の六項目で整理して記述することが大切です。   (⇒失敗学会

●社会を発展させた3大事故
  タコマ橋の崩壊事故
  初期のつり橋であるタコマ橋が強風に煽られて、大きく振動しついには崩壊する、という映像をご覧になった方も多いでしょう。 この「失敗」により、「自励振動」の正体が明らかになり、その後のつり橋建造に活かれ、このような事故は繰り返されることがなくなりました。 (これと類似の現象で、2003926日、苫小牧で巨大地震の長周期波の共振による石油タンク液面スロッシングで浮き屋根が壊れ大火災になった事例があります。)

② コメット機の墜落事故
  世界初のジェット旅客機デハビラント・コメット機が就航した後、2機が相次いで空中爆発事故を起こしました。この「失敗」により「金属疲労」のメカニズムが明らかになり、その後の航空機開発に活かされ、このうな事故は繰り返されることがなくなりました。

 ③ リバティー船沈没事故
リベットによる造船が主流の時代に溶接により建造したリバティー船が1940年代に登場します。しかし就航間もなく次から次へと破壊事故が発生します。この「失敗」により「低温脆性」のメカニズムが明らかになり、その後の造船技術に活かされ、このような事故は繰り返される事がなくなりました。
 
このように人類は失敗で多くの犠牲を払いましたが、失敗を乗越え技術は進歩してきました。

「良い失敗」と、司法取引制度
 畑村氏は、『失敗には2種類ある、即ち「良い失敗」「悪い失敗」である』、と指摘します。

「良い失敗」は、「未知への遭遇」の中に含まれるもので、細心の注意を払い対処しても防ぎ切れない失敗を指します。このような未知への遭遇により引起こされた失敗はその後の技術に飛躍的進歩をもたらします。先述の3大事故がそれに該当します。また避けられない「良い失敗」について、その責任は追及されるべきでないと主張しています それが余りに厳しく追及されるようだと、失敗が隠蔽され社会の発展が停止します。 日本は過剰に責任のみ追及し、本質原因究明や本質対策が、後回しになり中々解決しない傾向があります。真の失敗原因を導き出すためには米国の司法取引制度のような制度が必要です。
 日本のように責任追及と原因究明を同時に行うシステムでは、当事者が刑事責任を避けるため真の失敗原因が隠され、中々本質的対策が打てません。

   畑村氏は昨年7月、原発事故の事故調査・検証委員長に任命された時も、上記と同様の事を言われていました。是非失敗学の基本姿勢に基づき、原発事故の真因を徹底究明して、常に本質対策が迅速に行われる国の体制提言して頂き、私たち国民も全員が、今度こそ二度と今回のような痛ましい災害を絶対繰返すことのない抜本的対策を確立したいものです。
  
その為には、私達一人ひとりが色々な事に関心を持ち、国や専門機関や他人任せにせずに、色々なチャンネルを通じて自分の意見をタイムリーに発信し、当事者としてかかわっていく事が重要です。

    例えば、この『失敗学は社会に大きな反響与え、現在失敗学会 (会費無料、誰でも参加可能)』として活動を全国展開していますので、この活動に参加するのも、有効な第一歩です。 
    特に石油・化学業や都市ガス、電力会社、製鉄業などは、大量の危険物を取扱い、小さな失敗が大災害へと発展する可能性のある危険性の高い仕事です。 かつ停止すると、たちどころに全国民が困窮する公共性の高い重要な仕事ですので、従事されている皆様方は、是非定期的にインターネット等で『失敗学会』にアクセスして勉強し、失敗学会に参加して、この失敗学を積極的に学び身の回りで活用・展開していって欲しい思います

7. 原発事故調査報告書に学ぶ

                                                                              2011年12月30日   
 東日本大地震で福島原発に10mを越える大津波が押寄せ、電源喪失でコントロール不能となり、1・3・4号機が水素爆発を引き起こしました。東電や政府からは、『メルトダウンは起きていない。水位は保たれている。水素爆発後の放射能影響は直ぐに人体に影響がでるレベルではない』 と繰返し発表されました。 しかし最近の色々な調査報告から、3月下旬には東電や政府はメルトダウンの事実を把握しており、『無用の混乱を避ける』 という名目で公表を避けていた事実が10ヶ月もたって判明し、地元住民の生命や健康を二の次にした対応に大きな非難が集まっています。
東電や政府からは、今もって具体的な報告がなく、『一体原発の状況はどうなっているのか?これ程の大事故に発展したのは何故か?』 という疑問や不信感が募る中、20117月に発足した『政府原発事故調査・検証委員会の中間報告』 が発表され、目をそむけたくなるようなお粗末な事実が浮き彫りになってきました。
この調査委員会の委員長は『失敗学』の権威、畑村洋太郎・東大名誉教授で、『100年後にも立派に通用する徹底した事故調査・問題提起・対策立案を目指す』 と述べられています。 是非徹底究明をお願いしたいところです。

456人の関係者からヒアリングし、700ページに及ぶ膨大な中間報告書ですが、NHKスペシャルで、とても分かりやすく解説されていましたので紹介します。 この中で指摘されていることは、巨大システムの中で生きる現代の私達にとって他人事でなく、私達一人ひとりに必要不可欠の視点・心構えとして、今後注視していく必要があります。

重大事故へと拡大した原因
畑村委員長・柳田委員のコメント
1.メルトダウンは何故止められなかったか?
    一号機は津波到達後、直流電源を喪失した。 こういうとき非常用復水器(IC)を使って自然冷却すべきところ、ICが機能不全に陥っていた事を誰も気づかなかった。
    当直は、ICが正常に作動していないと疑いICを停止したが、本部へ報告せず、関係者全員がIC機能不全に陥っている事を気づかなかった。
    三号機は、高圧注水系(HPCI)を運転し冷却していたが、当直が水量不足を懸念して停止した。別の冷却系統を動かそうとしたが、バッテリー容量不足で動かず代替冷却に失敗した。上層部報告も遅れ、結果約7時間原子炉への注水が中断した。
    バッテリー枯渇の懸念を全くしていなかった。
消防車の早期利用も可能であったが、代替注水に動くことはなかった。同本部に代替注水の必要性・緊急性の認識が欠如していた事が対応の遅れを生んだ。(その結果水素爆発に至った)

(1). 現場も本社も専門機関もシステムの本質を理解していなかった。 どこが盲点でポイントかの根源的な問題点が共有化できていなかった。 またアドバイスする立場にある東電本社・保安院・原子力安全委員に、そういう能力がなかった。
2. 『直流電源喪失』 が想定されていないので、そういう事態になったときどうなるかを誰も考えていなかった。 前提が間違っているので 後の対応がみんな間違っている。 『習熟不足というよりも、考えている中身が全く違う』 という状態だった。
(3) 責任者は 『想定外だった(だから仕方がない)』 と繰返すが、本来想定すべき事を想定せず不適切だった。 人間は考える範囲を決めないと正しくキチンと考えられない。 しかし一旦境界を決めると、その内側(想定内)はもの凄く考えるが外側(想定外)の事は全く考えなくなる。 その考えなかったところ(想定外)に事故が起きると、とんでもない大事故になる。 今回はそれが起こるべくして起きたものだといえる。

2.何故事故対応は混乱し、初動に失敗したか?
    原子力緊急事態対応の中心となるべき現地対策本部(オフサイトセンター)に放射性除去フィルターがなく、放射線量上昇ですぐ退去となり全く機能しなかった。 20092月に総務省からフィルター設置を勧告されていたが措置を講じていなかった。
    首相官邸が混乱し、官邸の指示・助言は殆んど役に立たず、悪影響を与えたものもあった。(代表例は1号機が空焚き状態の時、既に始まっていた冷却を、管前首相が停止させた。ただ現地所長は「海水中断」を演技して実際は冷却続行した。)
    官邸5階の関係閣僚等による意思決定が、地下設置の各省庁局長級危機管理チームに殆ど伝わらず、事故対応が混乱し、近隣住民の避難等、国民への情報提供にも大きな問題を生じた。
(1)本来災害時に的確な判断や指示が出来るのは現地である。しかし放射線の影響で環境が変化した時にどうするかも考えておかなければ何も出来なくなってしまう。 そしてその通りになり、現地では何も出来ず、遠く離れた首相官邸で全てを判断・指示することになって混乱を極めた。
(2) 大事な事は、個々に関与している全ての人が、自分は世の中からどういう事が求められていて、自分はこういう状態の時、何をしなければならないか』 を、自分に課せられた責務・使命だと思って、常日頃から考え行動している事が必要だ。
『言われたからやる。決まりだからやる』 という考えに染まっていたら、絶対本当の対応にならない。
3.何故情報が遅れ、被害拡大防できなかったか?
①住民の放射線被爆防止と避難の
 対応に不可欠な、初期モニタリング
 情報、データ等を速やかに公表しよう
   とする姿勢が、政府には欠けていた。
②放射能影響予測ネットワークシミュレー
  ションで、3号機爆発の放射能が北西
  方向に広がる予測が出たが、避難
   誘導には使われなかった。
文科省・・無用の混乱招くと公開せず
安全委員会・・内部検討用とし不公開
保安院・・首相官邸送付したが首相
     に不伝達
 ③315日に飯館村で政府機関が放射能レベルを測定したところ330ミリシーベルト/Hrと原発周辺の約3倍の高濃度であったが住民に伝えられず、避難誘導することはなかった。
(1) 公の仕事をしている関係者に、『住民の命と尊厳を重視する』という立場に立ってデータを公開・活用するという意識がなかった。住民の生命と健康を重視するなら、せめて放射能が流れていく方向ぐらいは伝えるべきであった。
(2) 『パニックを恐れる』 としていたが、これを防止する為には、事前の訓練を徹底して行うしかない。釜石の真剣な訓練を実施していた小学校では、ほぼ100%全員が生き延びた。
(3) 『訓練してもうまくいかないのは何故か?』形だけの訓練は、実際に何の役にも立たず意味がない。
『今起きている事のイメージが映像のように浮かぶ。そしてそれが関係者に共有化されている』 時に初めて避難行動が的確に出来る。その為の訓練は非常に意味がある。
4.巨大津波の備えは何故なかったのか?
    東電は『想定外だった』としているが、3年前に10m以上の津波の可能性を予測していたが、その対策費が数百億円かかる為『想定外』 とした。
    安院は東電からH21に『8.9mの津波の可能性』の報告を受け、ポンプ電動機の水没を懸念したが具体的措置を求めなかった。H23年1月保安院は10mを超える資産報告を受けたが、具体的対策指示をしなかった。 そして13mの津波が襲った。
(1)関係者から 『想定外』 という発言が相次いだが、厳しい状況を想定して必要な対策を打つのが関係者の責務だった筈だ。
(2) 50年前から 『システムアナリシス』 の考え方がある。 数百億円かかる対策が出来ないなら、次策として一番大事な配電盤だけでも水没しないように出来ないか、これなら10分の1以下で出来るはずだ。
3)人間は、都合が悪く考えたくない事は考えず、見たくないものは見ない。しかし想定外のところもチャンと考えることが必要だった。 『これが万一起きても何とかとんでもない酷い事にならないように出来ないか=減災の考え方』 がこれからは重要だ。

7. 石油タンク群の津波対策は万全?

  東日本大震災から10年が経過しますが、災害復興、原発事故処理は中々進みません。 その一方で間近に迫った東海・南海沖大地震では、更に大規模の津波が懸念され、京浜・京葉・中京・阪神地区の石油コンビナートや都市ガスの球形タンクやタンクローリーによる石油・ガスの爆発大火災が心配です。 これは今迄の想定をはるかに超えた壊滅的大災害が予測されますが、海岸端にある巨大タンク群が10~20mの津波にさらされても破壊されない防潮堤などの防御策は十分かの議論や検討を耳にすることがありません。9年が経過して『喉元過ぎれば熱さを忘れる。 他所の事故を対岸の火,、他人事として真剣に考えない私達日本人の悪い性癖』に埋没してしまったのではないかと懸念します。
東日本大震災では気仙沼市で津波襲来と同時に大火災が発生、約10日間燃え続けました。 原因は石油タンクから流出した石油で、焼失面積は約74ヘクタール(東京ドーム16個分)、1995年の阪神大震災の全焼失面積約84 ヘクタール に迫る大火災でした。海岸にあった石油タンクが、内陸部へ最大2.4kmも流されており、津波の猛威・恐ろしさを思い知らされました。
1. 津浪高さによる石油タンク破壊の関係
東日本大地震津浪高さによる石油タンク被害状況は次のように報告されています。 これによると、1000KL以下の小容量タンクでは殆どが、津波高さ4m以上で流されたり破壊され、大火災の原因になったことが覗われます。 
1000KL以上の大容量タンクでは、津波高さ2m程度でも殆どがで、本体が流される事はありませんが、配管や漂流物による損傷や破壊、液状化による不等沈下による損傷があった事を示します。 津浪高さ7m以上になると2~3000KLでもタンクが押流され破壊が大きくなると読み取れます。
2.南海トラフ巨大地震時の列島津浪予測と大都市部予測
政府から公表されている最大津浪予測は以下の通りですが、これによると、東京湾深部の品川で2.2m、伊勢湾深部の名古屋で3.8m、大阪湾深部で3.4mと、 いずれも大規模石油コンビナート地帯では4m以下となっており、従来の台風による高潮・高波被害を防止する対策をしっかりと講じておけば、津浪に対しても先ずは大丈夫という事になります。
ただ、外洋に面した地区では、最大30m~35mの巨大津波が10数分で襲来する事になりますから、一刻も早く近くの高台や10階位のビル屋上等に避難する事が必要です。

日本の主要産業が集中する関東・関西・中部・東海地方の海岸に設置されている石油タンク数は気仙沼市の比ではなく、東海・南海沖・首都直下大地震では、津波による石油タンク破壊から、想像を絶する未曾有の大火災発生が予測されます。 この大災害防止の為に、原発で実施されつつある防潮堤嵩上工事が、石油コンビナート・タンク群防御の為にも同様に必要ですが、全くその議論や報道がなされず、対応が考えられていないのではないかと懸念されます。

3.球形タンクの被害について
また今回の東日本大震災で、震源地から5~600kmも遠く離れた京葉コンビナートのコスモ石油で、球形タンクの連続大爆が4回も発生し、最大直径600mの火柱(ファイヤ・ボール)があがり付近の住民を恐怖のどん底に陥れました。 危険物の大爆発の恐ろしさを思い知らされた大災害でした。 これ程の大事故で人身事故がなかったのは奇跡としか言えません。
報道によると、『コスモ石油の球形タンク火災は、開放検査中の水張検査で通常の2倍の加重になっているところに、設計の2倍の地震横揺加速度が加わった為に支柱が折れ、タンクが落下して配管を損傷して火災発生し、タンクを下から焙る形になり、内部で沸騰したガスに引火し大爆発を起こした』のが原因のようです。
 もしこの通りだとすると『常用の2倍の加重となる水張検査の妥当性』が問題となります。何故、窒素による耐圧・気密テスト(全溶接線検査)としないのでしょうか? 水張検査を継続する限り今回と同じタンク火災は、必ず今後も起こり得ます。 

  また別の報道では埋立地の液状化現象で護岸が土圧に耐切れず破壊し、流動土砂の突出により球形タンクの基礎杭が折れたのではないか』とする説もありました。 この心配から東京湾内の石油コンビナートを点検したところ、川崎地区で前現象と思われるものが見つかったそうです。その対策には護岸保護の追加杭を打つしかなく、10mで3億円の高コスト工事となります。 製油所タンクはすべて埋立地の海岸に建設されており、液状化によるタンク基礎変形・破損、津波による護岸・タンク破壊・石油・ガス大量流失と大火災が懸念されます。 各企業・自治体は、そういう観点でのシミュレーションや検証、対策をしっかりと行っておくことが重要です。

4.浮屋根式石油タンクの長周期地震波対策 (スロッシング対策)
15年前にも大地震によるタンク大火災がありました。 2003年9月26日午前4時50分、M8の十勝沖地震が発生し、約200km離れた北海道苫小牧にある製油所の3万トン原油タンクから出火し、浮き屋根周辺のリング状火災に留まり約7時間後鎮火しました。遠距離への長周期地震波により浮き屋根が大きく波打つスロッシング現象 によるものです。
 しかし2日後、今度は隣の3万トンのナフサタンクから出火し、強風の影響を受け屋根全面火災となり、約40時間燃え続けました。 苫小牧港を挟む対岸は、苫小牧市街中心部で、市民を恐怖のどん底に陥れる大火災となりました。テレビ放送は NHK・民報共に火災状況を常時画面隅に映出し報道しました。
この大火災を契機に石油コンビナート法で【①浮屋根の強化、②地域毎に大容量消火砲設置義務、③スロッシングが起きても上部から漏逸しないタンク液面で運用する】 が義務付けられ『長周期地震波によるスロッシング現象』の対策が全国的に実施されています。その結果、今回の東日本大地震では、浮屋根への油横溢はありましたが、タンク外への漏洩や火災事故はありませんでした。

  福島原発事故の東電経営幹部の判断・対応・混乱振りを見ていると『目先の経営効率最優先、平常時の安定運転状態に安住し、想定を超える自然災害時等にどう対応するかという異常・非常時の組織的備え・訓練を怠っていたのが本質原因』であったことは一目瞭然です。福島原発事故調査委員会報告で、畑村・柳田委員は次のように述べています。

「大事故が起きると、責任者は『想定外だった(だから仕方がない)』と繰返すが、本来想定すべき事を想定せず不適切だった。人間は考える範囲を決めないと正しくキチンと考えられない。しかし一旦境界を決めると、その内側(想定内)はもの凄く考えるが外側(想定外)の事は全く考えなくなる。 その考えなかったところ(想定外)に事故が起きると、とんでもない大事故になる。 今回はそれが起こるべくして起きたものだといえる。」

 日本中の企業・組織が目先の経営に目を奪われて、全く同じ状態ではなか・・と危惧します。他山の石として総点検・対応するのが緊急課題ではないでしょうか。
これから起こる東海・南海地震や首都直下型地震時の災害防止対策、特に石油・ガスタンクの津波被害防止対策、大火災への備えを確実に実施しておく事が重要です。

所轄官庁は総務省消防庁で、役所仕事の常として『前例主義や経験則の措定内対応』に留まり、想定外の予測・予防・減災の検討や防止措置対応の動きが分かり難く、何もしない内に次の大災害を迎えることになりかねません。 
 私達一般市民の素朴な不安や疑問が一番確実で的を得た危険予知・予測です。 積極的に関係部署に働きかけることが、唯一本質的な対策を打つ契機になります。 お互いに勇気を持って関係企業、自治体、官庁、政府に働きかけていきましょう!

7. 燃料電池車が地球環境を救う!

                      (改定) 201541
 ついに トヨタ、ホンダが、燃料電池車を700万円台で国内発売開始しました。 
2016年には日産も発売予定です。 国から200万円の補助金が付いて500万円台、販売が順調に伸びれば今のハイブリッド車と同等の値段になる事が予測されます。 いよいよ無公害の水素社会へのスタートです。
  30年以上前からCO2ガスによる地球温暖化が大問題になり、1997年の京都議定書で世界中が温暖化対策に取り組むことになりましたが、最大排出国のアメリカは数値目標を設定せず、中国は経済発展途上を理由に議定書すら締結しておらず、実質的CO2低減は困難を極めています。 
  そういう中で省エネ先進国の日本は地球温暖化防止・CO2低減の牽引役を果たして来ましたが、2011年の福島原発事故で全ての原発が停止して一転、LNG・石油燃焼切替えによるCO2排出量が約30%も増加して地球温暖化を加速する側になってしまいました。原発停止=燃料切替等による発電コストUPは年間2~3兆円、10年間で20兆円以上のコストUP分を国民は負担していることになります。また自然エネルギー活用の美名に踊らされて、広大な太陽電池パネルで山林は切払われ自然破壊が進んでいます。

 私達は直面した原発事故リスクに目を奪われて原発即停止を唱えていますが、将来的に取返しのつかない地球温暖化の進行防止や、未来を救う技術開発や経済発展には中々目が向きません。 そういう逆風の中でも弛まぬ技術開発を続けるトヨタやホンダの技術者に限りない尊敬と感謝の念を覚えます。

 技術開発が加速する燃料電池車ですが、
最大の課題は『水素供給システム構築』です。 

石油関係技術者の友人達は、中々今迄の固定観念から脱する事が出来ず、『燃料電池車は普及しない。 自動車メーカは ”水素ありき” で燃料電池車を開発するが、水素製造の過程でガソリン・ディーゼルエンジン同等のCO2を排出する矛盾に目を向けない。』 と保守的で、燃料電池車に懐疑的・批判的です。 燃料サプライヤとしての先見の明・使命感、社会貢献の戦略的視点が希薄なのではないかと懸念します。 現状維持のネガティブ思考では歴史的な技術革新や社会の発展に寄与できず、やがては社会的存在意義を失っていきます。 
  従来の内燃機関や石油・LNGのボイラ燃焼等は大量のCO2とその4倍の窒素と一緒に排出します。その排出ガスからCO2だけを捕集し圧縮して大深度地中に封じ込める技術を開発中ですが、何十年かけても実現は困難で、非現実的です。

 しかし、LNG・シェールガス・石油・石炭等から水素製造する方法は、炭化水素と水蒸気を触媒下で接触分解させ、水素(分子量2)とCO2(分子量44)だけが発生するため分離捕集が容易で、CO2を残らず回収処理する事が出来ます。 現に千葉石油精製工場では、この不用CO2からドライアイスを製造する合弁工場が併設されて商用化されています。 またCO2をハウス栽培に供給すれば生産増進し、藻類で光合成させれば石油生産も可能で、余剰分はカルシウム(海水から容易に抽出)に吸収させて大理石(CaCO3)として固定化が簡単に出来、大深度地下への封入も容易となります。 水素社会はCO2排出も極小化できる理想社会なのです。

一億円の未来車が 500万円で販売開始!   2013年4月11日                                                                                 
 究極のエコカーとして20年前から開発されてきた燃料電池車が、ついに500万円で発売されます。 20年もかかったのは、電極に高価なプラチナを使用する為、10年前の実証車が1台1億円、数年前でも3~5千万円と高価だったからです。 先日 NHK『おはよう日本』で、また日経新聞1面で 『トヨタが2年後、燃料電池車を500万円で発売! の特報がありました。
  普及の為に政府は補助金の設定を検討しており、2015年の発売時には400万円程度まで安くなる可能性もあります。 燃料電池車による経済効果は2.7兆円、周辺産業を加えると10兆円は軽く超えます。暮らしや産業は大きく変わり、日本のエネルギー問題や貿易収支にも多大な影響を与えそうです。
 現在、原発事故後の火力発電割合が増え地球温暖化ガス排出が急増している問題の解決にも、シェールガスやメタンハイドレードを原料とした燃料電池発電が大きな役割を担うことになりそうです。
 
 世界はCO2による地球温暖化が進行し、原油=ガソリン価格の高騰、少子高齢化で自動車を使う人が激減し、車の販売台数が減少し続けています。 自動車各社は突破口を電気自動車に求めましたが、蓄電池の限界(150~200Kmという短い運転距離)、急速充電でも30分(通常充電は数時間)という使い勝手の悪さ等で主流になれず、販売は低迷しています。 更に原子力発電所の稼働再開が不透明な中で火力発電へのシフトで電力料金は高くなり、普及の前提も揺れています。
     

ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も回生した電力の蓄電池では数十Kmしか走れず、メインはガソリンエンジン走行で、市街地での実燃費は20Km/L前後と、あくまで過渡的な準エコカーです。
      
   代わりに脚光を浴び始めたのが燃料電池車です。 最大の特徴は、水素と酸素を反応させる際に発生する電気で自動車を走らせることです。 燃料効率はガソリン車の2、排出されるのは水(蒸気)で、空気を全く汚さずCO2も排出しません。 (水素製造過程の方法によってはCO2がでます。)一回の水素充填は3分程度で、ガソリン車よりも長距離を走ります。 大型化すると商用発電機になります。

  従来、燃料電池車が1台1億円と高価だったのは下の5つの難しい問題があるからです。 特に難問だったのが、①燃料電池セル(水素と酸素の反応を高める触媒)、②水素貯蔵容器でしたが、ここにきて画期的な技術革新(ブレイク・スルー)が起き、1台500万円を実現しました。

1.ブレイクスルーした最新技術
(1).高圧水素をためる水素貯蔵容器
 炭素繊維をタンクに巻き付ける技術開発で、強くて小型軽量の貯蔵容器ができました。炭素繊維は日本のお家芸。「海外メーカーにはなかなか真似できない」と、開発したトヨタの内山田竹志副会長は話します。また国土交通省は今回、高圧ガス保安法の省令を改正し、車載の水素容器の圧力を2倍の700気圧まで認める方向です。これにより水素タンクを大きくする必要がなく、ガソリン車と同じようなサイズの車にできると共に、走行距離も一回の充填で500~700Km走れるように なります。

(2). 燃料電池セル

 燃料電池セルのコストアップの最大原因は燃料電池の材料として使われるプラチナです。プラチナは水素と酸素を化学反応させ発電するのに欠かせません。 プラチナの価格は1グラムおよそ5千円。車1台当たり約100グラム使う為、プラチナ単体だけで約50万円もかかりますトヨタ自動車では燃料電池を小型化し、使用するプラチナを開発当初の3分の1まで減らすことに成功しました。しかし燃料電池車の普及の為には、更にコストダウンが必要です。
   群馬大学の研究室ではプラチナ代替材料としてカーボンに着目しています。カーボンは原料の樹脂が簡単に手に入り、プラチナの千分の1と安価です。 同じ大きさの燃料電池で比較すると、発電能力はまだプラチナの6割から7割ですが、 2020年には実用化、燃料電池の大幅なコストダウンが可能になると期待されています。

2.世界の自動車業界のあわただしい動き
 燃料電池車の市販が間近になり、世界の自動車各社の動きは慌ただしくなってきました。1月にトヨタが独BMWと燃料電池車の共同開発で合意し、その4日後には日産と仏ルノー連合が独ダイムラー、米フォードと提携して、開発の合従連衡に拍車がかかっています。 

                   

3.日本の産業構造が大きく転換する可能性
   日本産業が抱えてきた致命的な弱点は、エネルギーの90%以上を国外の化石燃料に頼っている事です。 中東の政情不安、イラン・ソマリア・中国からのシーレーン脅威などで日本経済は即座に壊滅的打撃を受ける危険性を持ち、また産油国戦略や先物 取引で今後も原油高騰は止まらないと予測されます。
40年前の1973年度の原油輸入量は2・9億キロリットルで、金額は86億7000万ドルでした。2010度は輸入量が2・2億キロリットルに減ったにもかかわらず、原油高による輸入額はなんと13倍にもなっています。油高、ガソリン価格高騰が自動車離れの原因にもなっています。
燃料電池車は、CO2やその他有害物質を発生しない理想的な車である事と、従来の有限な化石燃料を使う必要がないため大きな潜在需要があります。
燃料電池車・発電用の水素原料は石油・天然ガス・石炭等ですが、最もCO2排出が少なく発生水素の割合が大きいのはメタン(天然ガス)です。最近注目を浴びている米国・カナダのシェールガスが輸入できるようになれば、従来の三分の一の価格になると期待されています。
またシベリアには永久凍土の下にメタンハイドレードが大量に冷凍固化して存在しています。これが地球温暖化で爆発的に大気に放出されています。メタンはCO2の25倍の温室効果があり、近年必ず温暖化加速の主原因になります。・・が、世界中がその問題点に気付きながらも何ら手を打たず、手を付けやすい、しかし「根本対策にならない再生可能エネルギー」だけに目を向けています。「枝葉を見て、木・森・山が見えない」状態と言えます。
 日本の近海にはメタンハイドレードが大量に存在します。 深海の為 採掘は難しいとされてきましたが、新技術が開発されてきており、5~10年後には採掘・商用可能になるでしょう。 水素の自給率が高まれば、莫大な原油購入資金の国外流出を減らせます。 それをインフラ整備などに充てれば関連産業の育成や雇用創出にも大きな効果がでるでしょう。

4.今後の課題
(1).水素ステーションの整備・普及
 燃料電池車普及のためには、ガソリンスタンドと同程度の水素ステーションを設置する必要があります。 水素ステーション設置の大きな課題が 建設コストや運営コスト、保守コストなどです。水素ステーションに供給する水素の移動方法についても現実的な方法を構築する必要があります。 現行ガソリンスタンドと同じような水素貯蔵タンクでは、一日20台から数十台の車にしか充填できません。 商売が成り立つには、一日に200400台の充填を可能にする方法を構築・実現する必要があります。 
水素タンクへの補充も重要な課題です。 タンクローリーでの補充では、一日数十台という状況になるので、水素配管などによる大型水素供給手段を検討する必要があります。このような水素ステーションの整備・普及が必要になりますが、国内企業が得意な炭素繊維などの貢献もあって、実用化レベルにきています。政府は 大都市中心に水素ステーション設置を検討しています。

(2)
.水素貯蔵容器の安全性の確立
以上述べてきたように、水素は今後の社会に重要なクリーンエネルギーです。 福島原発で実証されたように、水素は爆発の危険性が高く、爆発限界範囲が 4~75% と少しの水素漏れや滞留でも危険です。(プロパンガスは 2 ~9.5%)  
  水素ボンベ方式 ・・・充填量を確保する為に 70MPa(700気圧) という超高圧で貯蔵する為、車衝突事故が起きでも安全性が確保される水素貯蔵方式の確立が不可欠です。 例えば水素ボンベの口金が外れるとボンベはロケットのように高速で飛び出す危険性があります。 この対策としては、ボンベを変形しない頑丈な保護カバーで囲うことや、最近搭載され始めた 『衝突・追突回避システム』 を全車に義務化する事等が考えられます。
   体水素方式 ・・・液体水素は沸点が –253℃ と超低温なため、火災爆発とは異なる危険があり漏洩したら周辺は即座に凍ります。 気化するまでにそれほど長時間はかかりませんが、あたり一面が冷凍状態になり、そこに人間がいた場合はまともに浴びれば即死という事もありえます
  水素吸蔵合金(メタルハイドライド) ・・・金属の中には水素を吸蔵するものがあります。これを使うとと高圧貯蔵しなくても良く、徐々に水素が放出されるので非常に安全と考えられます。 但し吸蔵合金は重く長距離運転に必要な水素を貯蔵すると車体重量が大きくなります。 また実際運転中は、この合金は水素を放出する為に、数百度程度に加熱が必要でエネルギーロスが発生しますので、恐らく主流とはなら ないでしょう。


 5.更に期待される新技術『マグネシウム燃料電池』 (東工大 矢部孝教授)
マグネシウムは効率が良くロケット噴射にも利用されるように高エネルギーを出します。 それと同時に、リチウムイオン電池の7倍半もの電力量を保持するという特性があります。 
 ☆電気自動車はマグネシウム燃料電池16kg500kmを走行。 電池代は3800
☆鉄道は、マグネシウム燃料電池を使えば高出力なのでパングラフが不要となる。
   新幹線は500km走行も可能になる。
☆マグネシウムは海水中に約1800兆トン、 石油30万年分に相当する量が存在
そのほか、マグネシウムは砂漠の砂などにも豊富に含まれている

マグネシウムの有効性は世界中の科学者が知っていましたが、『エネルギー源としては無理』だと考えられてきました。 海水を淡水化する過程で塩と塩化マグネシウムが残りますが、この塩化 マグネシウムにレーザー光線を当てるとマグネシウムが生まれます。マグネシウム生成の工程では食塩と水を生み出すので、日照時間が長いアフリカや中南米の発展途上国の生活向上の救世主、経済発展の起爆剤になる可能性があります。
◎ 日本では上水の確保が必要な沖縄の離島などが適地となります。
◎ 四方を海で囲まれた日本にとってはまさに資源の宝庫です。


20年も続いたデフレ不況、東日本大地震・大津波、原発事故、政治の混乱・・・色々な困難が発生しましたが、一昨年の山中教授のiPS細胞や燃料電池など、最先端の技術開発分野で日本は最先頭を走っていることが分ります。  若い人達には、ワクワクするような大きな夢と強い確信を持って、堂々と力強く新しい時代を切り開いていって欲しいと思います。