令和4年5月3日
連日のウクライナ報道に『世界はどうなるのか』と暗澹たる思いです。
「時代錯誤のロシア帝国再興」を夢見るサイコパス男プーチンが、「2~3日の攻撃でウクライナを支配できる」と無謀な軍事行動に出ましたが、ウクライナ国民性を完全に見誤り、2カ月経過しても膠着状態が続いています。「勝利できないと追詰められたプーチンは更に戦争をエスカレートさせ、毒ガスや戦術核を使う暴挙にでるのではないか・・」という恐怖が募ります。まさにサイコパス症状=「感情の一部、特に他者への愛情や思いやりが欠如し、自己中心的で、道徳観念・倫理観・恐怖を感じない」
の独裁者が世界の運命をもてあそんでいます。 また我が隣国には、「ウクライナ侵略を参考にして俺はもっと上手くやるぞ」と、爪と牙を磨いているもっと巨悪の独裁者が存在します。
何とも救いようのない世の中に思えますが『悪の栄えたためしなし』です。そういう希望を持って生きよと教えてくれるのが「清湖口敏氏の “雀の涙”」です。産経新聞4月22日のオピニオン欄に掲載されました。
漢字「雀」の第3画を一滴の涙に置き換えて「すずめのなみだ」
と読ませ、昨年の「創作漢字コンテスト」で特別賞を受賞したのは鹿児島市の小学4年生でした。清湖口氏は、この「すずめのなみだ」が、ウクライナの無差別爆撃で 「家族を亡くし、瓦礫に中に立ち尽くし、ポーランドなどに逃れる人々の涙と重なる・・」と述べています。全く同感です。「世界が胸を詰まらせるウクライナの涙が、なぜプーチンやロシア人の心に染みないのでしょうか・・」1.まずは、童話「舌切り雀」のお話から・・
むかし山間の一軒家に、おじいちゃんとおばあちゃんが住んでいました。畑からの帰り道、おじいちゃんは怪我をした小雀を見つけて手当てをし大変可愛がりましたので、おばあちゃんは面白くありませんでした。
ある日、お腹がすいていた小雀は、おばあちゃんが作った洗濯糊を食べてしまったので、怒ったおばあちゃんは小雀の舌をハサミでちょん切ってしまいました。これを知ったおじいちゃんは可哀そうになり、逃げた小雀探しに出かけました。
雀のお宿に着いたおじいちゃんは、すっかり回復していた小雀から大歓迎されました。翌朝、おじいちゃんが家に帰ろうとすると、小雀は大きい葛と小さい葛を出し、どちらか好きな方を持って帰るように言いました。おじいちゃんは持つのに楽な小さい葛を持って帰りました。
家に帰って葛を開けてみると、中には大判小判の宝物が沢山は入っていました。欲を出したおばあちゃんは大きい葛も手に入れようと雀のお宿に出かけ、雀の歓迎もそっちのけで早く大きな葛を出すように催促しました。そして手に入れると、さっさと雀のお宿を後にしました。
しかし帰り道の途中で背中の葛の中身が気になり開けてみると、中からうじゃうじゃとオバケが出てきて、おばあさんは腰を抜かしながらも、やっとのことで逃げ帰りました。
2.毛沢東が1950年代に展開「雀10億羽の虐殺」
中国大陸を掌握した毛沢東は、政敵虐殺や大躍進・文化大革命の失敗で約4000万人を死亡させた人類最悪の暴君でした。その大躍進政策で最初に実施されたのが「四害駆除運動」で、まずコメの増産を妨げるとしてスズメ撲滅運動が1958~60年の2年間展開されました。北京市だけでも300万人が駆除に動員され、騒音で攻め立てられた雀は羽を休める場所もなく、力尽きて次々と空から落ちていく・・「治外法権のここなら安全」と思ったのか、ポーランド大使館敷地内に逃げ込んだ雀もいましたが、そこも太鼓の音に包囲されて羽休めはかなわず、大使館員は雀の死骸処理にシャベルが必要だったといいます。(『惑わされない思考』
デビッド・グラハム著)は、1年間で約10億羽の雀が殺されたと紹介しています。 この当時の中国では、農家が育てた穀物を食う雀は、労働者を食い物にするブルジョア(資本家)階級と同じ」と決めつけ、「雀を根絶やしにせよ」という大量虐殺でした。
もちろん日本の農村でも収穫期の雀対策は必要ですが、殆んどは案山子や鳴子で雀を脅すだけです。むしろ田植えから稲生育期は害虫駆除してくれる益虫で、日本は根本的に違います。
そんなスズメ撲滅運動の結果は当然ですが、天敵の雀がいなくなったことで穀物を食い荒らす害虫のイナゴが爆発的に増え、飢饉によって膨大な数の中国人が餓死しました。最終的に中国はソ連(現ロシア)から大量の雀を輸入する羽目になったというので、何とも間抜けな話です。
3.追われる人々
しかし雀にとってはこれほどの悲劇はありません。一縷の望みを託してポーランド大使館へと逃げ込んだ大量の雀の涙を思うと、あまりに気の毒でならず、舌切り雀ともども、これらの涙が、ロシア軍の容赦ない攻撃の中、命からがらポーランドへ逃れたウクライナの人々の涙にどうしても重なります。
人と雀を一緒にするのは申し訳ないけど、昔話の中で舌を切られ追放された雀は、泣く泣く居住地を追われた人々と重なります。日本国語大辞典で「舌切り雀」について「(比喩的に)家を追いだされること、また追出された人」としています。
擬人化した動物が登場する昔話は、人間社会の諸相を風刺し、強調するものが多くあります。「舌切り雀」も、優しく面倒を見てくれた善良な老爺には宝物を与える「報恩譚」として、また非情で強欲な老婆には罰を与える「復讐譚」として、親から子へと教育的効果を念頭に伝承されてきました。
舌を切られて声を上げられなくなった小さな雀の涙は、ロシアの蛮行に抗うすべもなく避難を余儀なくされたウクライナの女性や子供たち一人一人の涙そのものに違いなく、彼らが舌切り雀と同様にロシアに対して復讐の念を燃やしたところで、また天が悲惨な受難者に味方するのに、一体何の不思議があるでしょう。
鳥は二本足で人間に近く、天高く飛翔する点では神にも近い動物です。日本神話でイザナギとイザナミの男女神に子(国、神)づくりの方法を教えたのは鳥(セキレイ)で、神武天皇の東征で道案内をしたのも鳥(八咫烏)でした。そんな鳥の中でも雀は生活圏が人間とほぼ一致する身近な存在だから、雀を苦しめて罰の当たらない道理はないことを「舌切り雀」は明確に語っています。
4.独裁者の末路
かのヒットラーは愛人とともに自殺し、ルーマニア大統領として権力を私物化したチャウシェスクは銃殺刑、大量虐殺したカンボジアのポルポトは人民裁判で終身刑・・・人類最悪のスターリンは死後大批判、ソ連崩壊後銅像はすべて破壊されました。毛沢東も晩年子飼いの4人組が弾劾失脚、あの世でも極悪人として裁かれていることでしょう。世界史上、人道に外れた独裁者が如何なる末路を辿るか改めて言うまでもありません。
昨今の日本では、昔話でも「悪者が最後はしっぺ返しを食らってて痛い目にあう」という肝心かなめを、教育的配慮だとかいう理由で「反省するならどんな罪でも許してあげる」 「全員ハッピー」といった何の教訓も得られないエセ人道主義の結末に改変されています。 悪事を働けばそれ相応の罰を受けるのは天の配剤で、因果応報、悪因悪果、自業自得、天罰覿面の教えこそが悪人共の非道を正す明鏡となり、子供だけでなく大人の正しい心を育みます。
【最後に】
2度の世界大戦で未曽有の悲惨を経験した人類は、「世界が滅びる3度目は絶対に避けなければならない!」と決意して 『国際連合』 を結成し、その根本理念を次の通りとした筈でした。今回のロシアによるウクライナ侵略は、この『人類唯一無二の世界平和の国際的枠組み』 を、常任理事国のロシアが、まるで嘲り笑う様に『一方的に踏破り、世界平和の破壊者となった、21世紀最大の暴挙・悪行』として歴史に記録されるでしょう。
(国際連合憲章の前文)
我ら連合国の人民は、我らの一生の内に二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持する条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進することとした。
このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。
(国際連合の目的)
1. 国際の平和及び安全を維持すること。その為に平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること。並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2. 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3. 経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。
4. これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること
(目的を達成する原則)
3.すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
日本人には、今迄あまり関心がなかった「平和な国ウクライナ」ですが、突然1000台を超える戦車と15万人を超えるロシア軍が宣戦布告もなく侵略し、平和な日常を滅茶苦茶に破壊されました。そして一般市民に対しても77年前のナチス・ホロコーストと変わらぬ悪逆非道を行っています。 首都キーウ(キエフ)制圧が失敗して撤退した後のブチャの惨状や、2か月も抵抗を続けるマリウポリでは死者2~3万人で、跡形もないほど徹底した破壊されました。そして今も10万人以上の一般市民が寝食もままならず人道避難も許されず孤立している惨状を見るにつけ、『これが人間のやる事か!』 と憤りを覚えます。
まるで80年前の『ナチス戦車大隊のポーランド侵略』
や、『東京空襲、広島・長崎原爆投下、沖縄の悲劇、全国の空襲・・』 の惨状がそのままウクライナで再現されています。私達の父母が体験した戦時中の悲惨・・国土が滅茶苦茶に破壊され、300万人の同胞が戦死し未だに遺骨収集されないままなのを何とも思わない平和ボケの私達日本人・・・ウクライナの惨劇は、『中国に蹂躙される明日の日本』
です。まさに 『目覚めよ日本!』
です。
●世界は大戦から77年間経過しても少しも進歩していない。
●むしろ何回も世界を破滅出来る悪魔の兵器を持った狂気の独裁者が、覇権拡大(中国は世界制覇)を虎視眈々と狙っている。
●自由と民主主義、人類の幸福と平和を目指す諸国の相互信頼と協調が乱れると、すかさず覇権主義国家が付け入ってくることを片時も忘れず備えておくことが大事である
ということを今回のウクライナの危機は教えてくれました。
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